第72話 一晩のお仕置き
「フブキ!」
「わふっ!」
朝!
日の出と共に起きた朝は気持ちがいいな。
残念なのは散歩に行けないことくらいか。
このままだとフブキが運動不足になってしまう。
船を置いている畑をドッグラン代わりにしてあげられないかな。
ダイスさんに聞いてみよう。
でもこうして4人で遊べるだけでもマシだ。
「パパ!」
「兄様!」
お、どうやら2人とも戻ってきたみたいだな。
「鈴! オマケのナームコ、お帰り」
「ただいまー」
「オマケではないのでございますっ。もぅ……ただいまなのでございます」
「そーら、高い高ーい」
「きゃはははは、うわーい!」
「うん、すっかり元気になったみたいだな」
「うんっ、心配掛けてごめんなさい」
「パパこそ、気づいてやれなくてごめんな。ナームコ、鈴のことありがとう」
「当然のことをしただけなのでございます」
「照れるな照れるな」
「照れてるわけではないのでございますっ」
「ほら、鈴」
鈴ちゃんを下ろして時子の方を向かせる。
……なんで笑顔から真顔に代わるんだろう。
「ママ、タイム伯母さん、ご心配をお掛けしました。ごめんなさい」
そうじゃない!
〝ただいま〟でいいんだよ。
「お帰り、鈴ちゃん」
「お帰りなさい。元気そうでよかったわ」
「はい、ただいま帰りました」
硬いなぁ。
でも時子相手だといつもあんな感じなんだよな。
なんでだろう。
パパッ子ってヤツか。
でも懐いていないわけじゃないんだよな。
「モナカ!」
ん? あれはナユダさん?
解放されたのかっ。
「ナユダさん! 大丈夫でしたか?」
「あはは、ちょっとお仕置きされちゃった。ほら」
「お仕置き……」
まくった長袖の下から痣やミミズ腫れが現れた。
叩かれたのか。痛そうだ。
「すみません」
「? モナカはなにも悪くないよ。これは私が招いた結果。だから気にしないで」
確かにアジトに誘ったのはナユダさんだ。
でも時間をオーバーさせてしまったのは俺たちだろう。
それも自分の責任?
中々言えないよな。
「私お腹空いちゃった。夜食べさせてもらえなかったからさー。ね、ご飯食べよう!」
飯抜きか。
それはキツいな。
「じゃ戻ろうか。フブキ、またな」
「わふっ!」
中に戻ると、朝ご飯が床に並べられていた。
「戻ったか。今呼びに行こうと……ナユダ? 戻ったのか」
「うん。もー見て見て。お仕置きされちゃった」
「見せなくていい。早かったな」
「えー?! 一晩ずっとだよ。もー眠くて眠くて。ふわぁ……それよりご飯!」
「貴方の分は無いぞ。自分で用意しろ」
「分かってるよ。自分で用意するさ。ご飯ご飯ー!」
行っちゃった。
でも元気そうでよかった。
腕の痕を見せられたときはビックリしたけど、ご飯を食べられる気力があるなら大丈夫だろう。
次回、ダイスさんとはお別れです




