表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/216

第68話 モナカと時子のブルース

「なにをしている」


 あ、ダイスさんが戻ってきたみたいだ。


「そういえば昨日も出ていたようだが」

「すみません、修行です」

「シュギョウとはなんだ」

「えーと、鍛錬することです」

「タンレン……」

「……身体を鍛えているだけです」

「そうか。終わったら教えてくれ。私はここで見ている」


 ナユダさんと同じ……それが仕事ってことか。

 今日も昨日と同じように筋トレだ。

 要するに自分が限界だと思うまでやる。

 ただ目標としては昨日の自分に負けないこと。

 あくまで目標でノルマじゃない。

 今のところ負けてはいない。

 でもこれって日に日にキツくなるってことだよな。

 負けたくないけど……正直キツい。

 そして時子が加わったことで出来るようになったこともある。

 手を繋いだまま如何に素早く動けるか……なんだけど。

 なんだあのタイムの格好は。

 ドレス?


「続いて10メートルダッシュ5本を10セットよ。マスター、時子を置いていかないの。時子、遅すぎよ。まったく……手じゃなくて足を繋ごうかしら」


「次は手押し車ね。マスターは手をついて。時子はマスターの足を持ってね。こら、背中を落とさないの。今度は時子が手をついてね」


「レッグ・トスやるわよ。マスターは仰向けになって足を真っ直ぐにして上げて。時子はマスターの頭の上に足を開いて立ったら、マスターの足を掴んで前や左右に押し投げて。マスターは足が地面に付かないように抵抗してまた上げる。でも時子、そこはスカートを履いてくるべきだったわね」

「なに言ってんの!」

「お姉ちゃん!」

「ふふっ、次は時子が仰向けよ」


「アプス・タッチよ。向かい合わせで体育座りして。そうしたら足を絡ませて腹筋運動するの。起き上がったらハイタッチ! そうそう、いいわよ」


「肩車スクワットね。時子を肩車してスクワットするのよ。時子、マスターに掴まらないで手は頭に乗せて背筋を伸ばす!」

「はいっ」

「マスター、膝を前に出しすぎないで! ほら、時子の太ももを持って落ちないように支える。ふふっ、役得ね」

「おいっ!」

「今度は時子がマスターを肩車して」

「おいおい、無茶言うな」

「ううん、やるわ」

「いい心がけね」


「はい、次はサイドバランス、左右1分ずつね。右足上げてー。次は左足ー。はい右ー、左ー」


「肘立てキープ1分よ。しっかりお尻上げて制止して。動いたらやり直しよ」


「じゃ、いよいよ組むわよ」

「……組む?」

「まず半身ズレて向かい合って……もっとくっつく! ……いいわよぉ。マスターは左手で時子の右手を握って……そうそう。左手は時子の肩甲骨よ。時子は左手をマスターの右手上腕に……そうよぉ。それでいいわ」

「……なんか、ダンスでもするのか?」


 なんてな。


「そうよ。まずはブルースからいくわよ」

「待った待った待った! ……え、ダンス? 修行は?」

「だからこれが修行よ」

「それにその格好はなんだ? いつもの紋付き袴はどうした。語尾もおかしいぞ」

「バカね。ダンサー(タイム)が着るのはドレスに決まってるでしょ」

ダンサー(タイム)?! サムライ(タイム)は?」

拙者(タイム)に踊りは無理でありんす」


 声だけかよ。


「だからダンサー(タイム)が教えるのよ」

「なるほど……じゃなくてだな」

「いい? 最初はマスターが右足を前に、時子が左足を後ろに。スロースロー、マスター動いて」

「あ、すまん」

「はい、スロースロー、90度向きを変えて足を揃える。今度は後ろ向きにスロースロー向きを変えて揃える。それが基本よ。さ、音楽に合わせてーはいっ」


 ダンスってなんだよ。

 しかもサムライ(タイム)じゃなくてダンサー(タイム)

 どういうことだ。

 戦闘の修行……なんだよな。

 ダンス?


「下を向かないっ。猫背にならないっ。背筋を伸ばして前を見るっ! はいそこでチェックバック」

「チェッ……え?」

「左足を前に、次はそのまま右足に重心を移して、時子は逆よ。はい向きを変えて、足を揃える。そうそう、それでいいわ。スロースロークイッククイック、スロースロークイッククイック、チェックバッククイッククイック。いいわ、いいわよぉ。その調子!」


 おー初めてでもそこそこ踊れるもんだな。

 この調子この調子……

 なんで俺、時子とダンスしているんだ?

次回、彼彼女

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ