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第58話 3人の生き残り

 隣の2人は食べれば食べるほど顔色が悪くなって、スプーンも進まなくなってる。

 倒れはしないものの、かなり苦しそうだ。

 それでもどうにか食べきれたみたい。

 よくアレを最後まで食べられたなぁ。

 あの味のままだったらボクには無理だよぅ。


「今日はここまで。明日に備えて身体を休めるように。世話役、後は任せたぞ」

「「「はい」」」


 倒れた人はどうするのかと思ったら、ワンさんが担いで連れて行っちゃった。

 触ることすら禁止してたのに……本当に死んじゃったのかな。


「アニカ様、お身体の調子は如何ですか」

「んー、さすがにあれ一杯じゃ足りませんね」

「足り……いえ、そういうことではありません」

「あはは、大丈夫ですよ。なんの問題もありません」

「そうですか。お強いんですね」

「そんなことありません」

「それでは、倉にお連れします」

「倉?」

「こちらです」


 他の2人もヨロヨロと立ち上がって歩こうとしている。

 手ぐらい貸してあげてもいいのに、世話役の割にお世話してる感じじゃないよ。

 でも倉? 地図は見せてもらってたけど、そんな建物近くにあったかな。

 さっきの部屋に戻るんじゃないんだ。


「アニカ!」


 モナカ君が手を振ってる。

 ボクも振り返さなきゃ。

 明日までお別れか……

 さびしいな。

 えーと、向かってるのはあの大部屋の建物だけど……

 でも裏の方に回ってるぞ。

 あ、扉がある。

 建物と比べて真新しいかも。

 扉近くの壁も何度か取り替えたような感じがする。

 扉を世話役の人が開くと、地下に降りる階段があった。

 暗いな……明かりは無いのかな。


「ひっ」

「な、なになに?!」


 あ、聖の微精霊(キュルワリ)たちが集まってきた。

 ありがとう。

 これで足下が見えるよ。


「ひぃぃっ」

「怖がらないでください。精霊たちが照らしてくれてるだけですから」

「セイレイ?」

「ボクのお友達です」

「トモダチ……」

「さ、行きましょう」


 階段を降りていくと扉があった。

 世話役の人が開けてくれたので中に入る。

 上より狭いけど、割と広いかな。

 もしかしてここで過ごすの?

 足をフラつかせながら2人が入ってくる。

 すると扉が閉まって鍵の掛かるような音がした。

 ……え?!

 閉じ込められた?

 世話役の人は?

 ボクたち3人だけ?


「すみません。どういうことですかっ」

「時間になりましたらお迎えに参ります」


 扉を叩きながら訴えたが、無慈悲な返答しかなかった。

 つまりここに幽閉されたってこと?


(隔離じゃな)


 隔離?


(アニカ様たちは毒素に冒されておる。故に側に置いておくことは出来ぬからの。ああ、勿論(もちろん)アニカ様の毒素はワシが燃やし尽くしておるから安心するのじゃ)


 じゃあ世話役の人は?


(あ奴らは毒素に対して抵抗力が強いようじゃの。多少影響はあるようじゃが、あの程度なら問題なかろうて)


 ね、この人たちの毒素は燃やしてあげられないの?


(無理じゃの。じゃが、身体ごとでよいなら可能じゃ)


 よくないよぅ。


(ふぉっふぉっふぉ。あ奴らにはあ奴らの都合がある。此方(こちら)から干渉する必要は無かろうて)


 でも苦しそうだよ。


魔神(まがみ)になるのじゃ。覚悟の上じゃろう)


 命がけでもなりたいものなんだろうか。

 ボクはなりたくない。

 でも、明日までここで過ごすのか……

 お腹空いた。

次回、生存率と変化率です

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