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第56話 片羽の火の鳥

 モナカくんのバカ。

 あーあ、折角話しかけてくれたと思ったら、あんなこと聞いてくるんだもん。

 ボクのこと、心配してないのかな……

 でも明日からどうしよう。

 今日は急遽決まったから世話役が居なくて1人で身体を清めることになったけど、明日からは世話役が身体を清めることになってるんだよなー。

 ……ヤだなぁ。

 あ、ドアがノックされたぞ。

 もう始まるのかな。


「アニカ様、入ってもよろしいでしょうか」

「……はい、どうぞ」

「失礼します」


 入ってきたのは真っ白な服装の女の人だ。


「私はアニカ様のお世話をすることになったリザテルと申します」


 もう決まったんだ……


「以後、なんなりとお申し付けください」

「よ、よろしくお願いします」


 結構です……と言いたいよぅ。


「お召し物をお持ちしました」

「着替えるんですか?」

「はい。こちらに着替えさせていただきます」

「えー」


 ここの人たちが着てる服に似てるかな。


「それでは、失礼します」

「え? いいよ自分で着替えられるから」

「お気になさらず。私の仕事ですので」

「そういうことではなくて、キャッ、やっ」


 お風呂だけじゃなくて着替えも?!

 しかも女の人……これがモナカくんならなぁ。

 もー早く終わって。


「失礼しました。それではお姿をご確認していただけますか」


 やっと終わった……

 もーなんでもいいよ。

 確認ね……えーと、鏡鏡……なんか、真っ白で清楚な感じだけど凄く地味だ。

 こんな姿、モナカくんに見られたくないよぉ。


「如何でしょう?」

「いいと思います」

「ありがとうございます。それでは参りましょう」

「え、もう?!」

「皆様お待ちです」

「……はい」

『アニカ、聞こえるか』

『モナカくん! 聞こえるよ』

『今儀式会場に着いた。そっちは?』

『ボクも仕度が終わって今行くところだよ』

『そうか。本当に大丈夫なんだよな』

『心配してくれるの?』

『当たり前だ。いざとなったらお前を連れて脱出するぞ』

『モナカ様、それは――』

『五月蠅いっ。中央なんか知らんっ。アニカの方が大事なんだよ』

『モナカくん……うん、大丈夫だから、心配しないで』

『……無理はするなよ』

『分かってる』


 部屋を出るとみんなで寝泊まりした大部屋に出た。

 あの部屋は進化の儀専用で、普段は使われてないんだって。

 大部屋を抜けて外へ出ると、もうそこは進化の儀の会場だ。

 あれ……人がいっぱい居るのかと思ったけど、誰も見に来てないの?

 お祭りみたいに賑わってるんだと思ったのに。

 ボクと同じで進化の儀参加者しか居ないみたい。

 ……あっ!


「モナカくん!」

「見に来たぞ」


 手を振ったら振り替えしてくれた。

 ちょっと嬉しい。

 みんな、来てくれたんだ。


『あれ? ナユダさんは?』

『ちょっと訳あって外れている。今はダイスさんが世話役だ』

『そうなんだ』

「ここにお座りになってお待ちください」


 えっと、ボクの他に3人参加するのか。

 手を広げても当たらないくらい離れてる。

 ここで儀式用のご飯を食べるんだっけ。

 変な儀式だな。

 神に捧げる踊りとかお供え物とかなにも無い。

 庭に真新しい白い布を敷いただけだ。

 特別感がなにも無い。

 靴を脱いで布に上がって指示があった場所辺りに座る。

 目印とか無いんだよね。

 多分この辺でいいはず。

 暫く待っていると小さなテーブルに載ったご飯が運ばれてきた。

 それを1人1人の前に置いていく。

 これで1人分なんだ。

 ……お椀におかゆ一杯だけ?

 いくらなんでも少なくない?

 もう食べてもいいのかな。

 あ、ワンさんだ。


「それではこれより〝進化の儀〟を始める。みんな、別れは告げてきたか。成否に関わらず、もう二度と戻ってくることは出来ない」


 二度と……だ、大丈夫かな。


『兄様、あの食事には毒素が微量に含まれているのでございます』

『毒素……ナユダさんが言っていたとおりか。そんなものを食べたら』

『致死量ではございませんが、冒されることは間違いございません』

『アニカっ!』

『だ、大丈夫だよ』

『大丈夫なもんかっ』

『大丈夫だって。だってボクには精霊が付いてるんだから。頼んだよ、火鳥(カタヨク)

火鳥(カタヨク)?』


 そっか。

 〝進化の儀〟は毒素を食べる儀式のことなんだ。

 確か魔人は沢山の毒素に冒された人間がなるんだっけ。

 でも一度に沢山の毒素に冒されると身体の変化が追い付かなくて崩れてしまうって聞いたことがある。

 でもボクたち精霊召喚術師は毒素から身体を守る方法を知ってる。

 精霊の力を、浄化の力を借りられれば……

 ……貸してくれるかな。


(なんじゃ。ワシを信用しとらんのか?)


 だって、火鳥(カタヨク)とは仮契約で本契約じゃないから……


(ふぉっふぉっふぉ、そんなことを言うたらアニカ様は火蜥蜴(サラマンダー)龍魚(リューギョ)泥猪(マッドボア)鎌鼬(ワールウィンド)も仮契約じゃろ)

(えっ?! 嘘言わないでよ。あたしはちゃんと(あるじ)と契約してるわっ)


 鎌鼬(ワールウィンド)、それは……


(なんじゃ、ここの精霊どもは本契約も知らんとみえる。情けないのぉ)

(な……どういう意味よっ)

(そのままの意味じゃ。ふぉっふぉっふぉ)

(なら本契約ってなんなのよっ)

(ふおっふぉ、それはじゃのぉ……安心せい。ワシがきちんと浄化してやるのじゃ)

(ちょっと! 本契約の話はどうしちゃったのよっ)

(本契約? いきなりなんの話じゃ)

(こ、こんのボケじじぃ!)

(なんじゃと!)


 まぁまぁ。

 火鳥(カタヨク)は相変わらず話が飛ぶなぁ。


(ん? なんの話じゃ)


 あはは、なんでもないよ。

 それに今は本契約の話をしてる場合じゃないからね。


(わ、分かってるわよ)


 うん、鎌鼬(ワールウィンド)は良い子だね。


()……そ、そんなんで誤魔化されないんだからねっ。後でちゃんと話してよ)


 分かったよ。

次回、実食

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