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携帯は魔法杖より便利です 第5部 歪な共生  作者: 武部恵☆美
第2章 違いを知るためには
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第42話 反省会

『今日はこのくらいにするでありんす』

『……ありがとうございました』


 結局クリアどころか手がかりすら掴めなかったぞ。

 しかも邪魔してくるのはサムライ(タイム)だけじゃない。

 トラップがあちこちに仕掛けられてて引っかかりまくってしまった。


『注意力が足りないでありんす。初歩的な罠は掛かる前に避けるでありんす』


 確かによく見れば丸見えだけど、ノンビリ注意しながら移動なんてしてたらサムライ(タイム)に斬られるんだよ。

 それに猪やら熊やら虎やらが襲ってくるし。

 黒埜(くろの)は呼び出しに応じてくれないし。

 素手でどうしろと?


『見つかる前に先に見つけて回避するでありんす』


 無茶言うな。

 一番(たち)が悪いのがフブキだ。

 いや、フブキは悪くない。

 フブキが居たから駆け寄ったら頭からガブリって……フブキはそんなことしないぞ!


美人局(つつもたせ)に掛かるとは……殿(マスター)も色事には弱いでありんす』


 ツツモタセ?

 その上痛みもしっかり感じやがる。

 腕に矢が刺さればめっちゃ痛いし、トラバサミだってめっちゃ痛いし、猪に体当たりされれば骨の折れる音が聞こえるしめっちゃ痛いし、熊に殴られれば爪でえぐられて骨が見えるしめっちゃ痛いし、虎に噛み付かれれば骨の砕かれる音が聞こえるし肉も引きちぎられるしめっちゃ痛いし。

 サムライ(タイム)の一撃がどれだけ優しさに包まれているか実感しちまうぜ。


『殺るときは一撃で確実に、必殺でありんす。ゲームのようにダメージを与えるだけの名ばかりとは違うでありんす』


 ゲームは必殺(必ず殺す)といいつつ、体力を削るだけのこけおどしだからな。

 それに木に印を付けるのも命がけだ。

 立ち止まって印を付けているだけなのにサムライ(タイム)に斬られて終わるとか、どんなクソゲーだ。

 ……前言撤回、優しくない。


『痛みを感じたいでありんす?』


 勘弁してください。そういう趣味はありません。

 大体サムライは見ているだけとか言ってたのに、なんで斬り付けてくるんだよ。

 詐欺じゃないかっ。


『永久ループ防止キャラ代わりでありんす』


 あー、アクションゲーとかシューティングゲーに時々出てくるアレか。

 ……なら最初からそう言えよ。

 こうなると立ち止まらずに印を付ける以外方法が無い。

 そんな印に区別が付けられるわけもなく、ただただ来たことがある場所くらいの目印にしかならない。

 それも[GAME OVER]になると消えて無くなるから困る。

 1からやり直しだ。

 マップは同じっていうけど、そもそも右を見ても左を見ても同じような景色で何処に罠があったか直ぐ分からなくなる。

 運良く躱せてホッとしているとサムライ(タイム)に斬られるし。

 休んでいる暇が無いっ!

 覚えている暇が無いっ!

 はぁ……一体何時間さ迷ったことやら。

 もう朝かな。

 ゆっくり目を開けてみると、まだ真っ暗だった。

 隣では鈴ちゃんが大人しく寝ている。

 えーと、時間は……10時前?!


『一時間くらいしか経っていない?』

殿(マスター)は電脳化しておられるので、思考を加速させられるでありんす』

『電……マジ?』

携帯(スマホ)と融合したのをお忘れでありんす?』

『あー』


 携帯(スマホ)と融合して人族からサイボーグ族になったのは知っていたけど、電脳化までしていたとは思わなかった。

 考えてみれば当然か。

 それに思考加速(アクセルワールド)なんてアプリも入れてた(インストール済みだ)しな。


『ならまだやれるんじゃないのか?』

殿(マスター)がお考え以上に脳は疲れているでありんす。身体同様、休養も大切でありんす。闇雲に鍛えればいいというものではないでありんす』

『分かった。素直に休むよ。おやすみ、サムライ(タイム)、タイム』

『おやすみでありんす』

『おやすみ』

次回で第2章は終わりです

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