表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
携帯は魔法杖より便利です 第5部 歪な共生  作者: 武部恵☆美
第2章 違いを知るためには
26/216

第25話 生活の違い

 俺たちを横目にみんなゾロゾロと入っていく。

 誰も来なくなって暫くするとワンさんが戻ってきた。


「遅くなったな。ナユダ、全員揃ってるか確認してきてくれ」

「はい」

「その間に簡単な説明をしておくぞ。といっても、王が言ってたことがほぼ全てだ。それに法の違いとか習慣の違いも、私たち自身分からないから話しようがない」


 確かに。

 知らない相手と自分の違いなんて分かるはずがない。

 相手を知って初めて違いが分かるものだ。


「では、ここでの生活習慣を教えていただけますか」

「そうだな。ここに暮らしてるのは人間が100人。朝起きたら食事当番が飯を作る。他の者は仕事の準備だ。飯を食ったら各々仕事を始める。日が傾き始めたら仕事を終わらせてここに戻ってくる。食事当番が飯を作り、他の者は片付けをする。その後風呂に入って寝る。といったところだ。なにか質問は?」


 物凄くザックリだな。

 まーでも俺たちと大差ないか。

 大人数で一緒に居るのはともかく、大体の人がこんなもんでしょ。

 特別聞くようなことは……


「他の場所も同じですか」


 ……無いかと思ったが、デイビーが勝手に質問を始めた。


「そうだ」

「そこも人間が100人ですか」

「そうだ」

「建物の構造も同じですか」

「そうだ」

魔神(まがみ)様もいらっしゃるのですか」

「そうだ」

「仕事内容はどのような――」


 ……細かいな。

 さすが専門家。聞くことが沢山あるようだ。

 交渉ごとは全て任せておけばいいか。


「昼食は取らないのですか」


 そういえば昼飯のことはなにも言っていなかったな。


「チュウショクとはなんだ」


 〝昼食〟を知らない?!


「お昼に食事をすることです」


 驚きもせず相変わらずのポーカーフェイスで淡々と答えている。

 このくらいで驚くな……とでも言いたいのか。


「昼間は仕事だ」

「いえ、そうではなく……太陽がてっぺんに来たとき、食事は取らないのですか?」

「変なことを聞くな。貴方のところは食べるのか?」


 変なことなのか。


「こちらでは一般的ですね」

「そうか。ここでは食べないのが一般的だ」


 朝夕の2食か。

 お腹空かないのかな。


「先ほど戻ってきた人たちの中に子供が交じっていたようですが、子供も仕事をされてるのですか」

「子供? 混じってなかったぞ」

「小さな子が混じってたように見えましたが……」

「ああ、年少者のことか。あれもれっきとした大人だ」

「10歳にも満たないように見えたのですが……」

「そうだな」

「大人……ですか」

「そうだ」

「子供とはどういった者のことを指しますか」

「会話と、フラつかずに歩くことが出来ない者……だな」


 それってつまり3歳か4歳くらいでもう大人ってこと?!

 フラつかずってどのレベルだろう。


「そうですか。僕たちでは15歳未満の者を子供といいます」

「15?! 年齢で区切るのか。はー、しかしそんなんでよく働き手が足りるな」

「勉強はしないのですか」

「してるぞ。年長者が教えている」

「仕事ではなく……学業はどうなっていますか」

「ガクギョウ?」

「文字や計算、世界の(ことわり)や歴史など、知識や道徳を勉強することです」

「すまんが、なにを言ってるかが分からん。だが計算なら教えてるぞ。仕事が出来なくなるからな」

「そうですか……」


 つまり学校がない?

 宿題も試験も塾もない?

 そして夏休みも……

 でも計算……数学だけはあるんだ。

 国語は?


魔神(まがみ)様はなにをしているのでしょうか」

「私たちは見回りをしてる。魔物が現れれば退治する。魔獣が生まれればその対処もする」

「他には?」

「特に無いな」


 無いのか。完全に警備兵だ。


「貴方のとこの魔神(まがみ)は違うのか」

「そうですね、大差はありません」


 〝こっちにも魔神(まがみ)は居る〟ってことにしてあるから、そう答えるしかないか。

次回、また彼女がのけ者にされます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ