第194話 リスト消滅
1人だと苦戦させられた魔神も2人だと楽勝だ。
時子が魔法で牽制して怯んだところを斬り付けるだけの簡単なお仕事。
問題は時子が携帯をガン見しないとアイコンを間違えてしまうところか。
しかも片手操作するには大きいらしく、使い勝手は悪そうだ。
なので動きが制限されているから決定打に欠けている。
あと1歩が踏み込めない。
その代わり時子がポチポチする度に火矢が飛んでくる。
さっきみたいに矢鱈滅多飛んでこないから時子なりに調節しているんだろう。
なので反撃はされないが決定打もない。
完全に削りゲーと化している。
しかも虐めに近い。火傷と切り傷でボロボロ。いくらなんでも可哀想だ。
なので時子の手を離して……離して……離させて!
がっつり掴まれてて離せない。ま、いつものことか。
振りほどくのは論外。さて、どうするか。
離せないのならくっつけばいい。
『時子、背中に乗って』
『タップタップ……え?』
『早く!』
『あ……うん』
よし、これで動ける!
無駄に苦しませず決定打を入れられる。
「トドメだ!」
「う……ぐ……うう…………」
『タップタップタップ……』
『時子、ストップ! ストーップ! もういいよ。倒せたから。終わり!』
なんか火矢が足下に何本も刺さってるぞ。
『え? あ、ホントだ。リストが無くなってる』
『リスト?』
『うん。照準は使えなくなったけど、対象がリスト表示されるようになったの』
『へー』
つまり対象が居なくなったから火矢が足下に?
時子が下を向いて連打していたのが関係しているのかな。
あ、そうだ。
『時子、怪我は無いか?』
『うん! モナカは?』
『問題ない。…………タイムは?』
『なにそのついでみたいな聞き方は』
『そんなつもりは……ごめん』
『ふふっ冗談だよ。そもそも外に出てないんだから問題ないよ』
『よし、アニカを助けに行くぞ!』
『フブキさんは?』
『フブキ? まだ戦っているのか!』
『勝ったけど、魔力が暴走してて……ちょっと危ないの』
『なっ……』
魔力が暴走?
それは……
『アニカを助けに行く』
『マスターいいの?』
『魔力絡みじゃ俺は力になってやれない。ナームコはまだ戦っているのか?』
『兄様! なんとか勝てたのでございます』
『鈴に怪我は無いか?』
『少々お疲れではございますが、問題ないのでございます』
『そうか。あー、ナームコも元気そうだな。鈴を守ってくれてありがとう』
『はぁぁぁぁっ!』
『だからそういうのいいから。それと帰ったら説教な』
『兄様?!』
『そんなことよりフブキの魔力が暴走しているらしいんだ。ナームコ、なんとかしてやれないか?』
『兄様…………承知したのでございます』
ナームコに任せておけば安心だ。
これでアニカに専念できる。
待ってろよ。今行くからな。
次回、ナームコが頑張ります




