第189話 タイムかルイエか
さて、時子が安全なところに移動するまで時間を稼ぐとするか。
最も倒してもいいんだけどね。倒せるなら。
魔神2人相手に1人で何処までやれるか。
1対1なら負けないだろう。
実際2人を相手にしていても負ける気がしない。
十分渡り合えている。
それでも決定打に欠けるんだよね。
致命傷を与えられると思うともう1人から横槍が入って中々有効打にならない。
普段なら気にせず攻められるんだけど……考えてみるとソロって初めて?
いつもタイムなり時子なりと一緒だったからなー。
それに魔神たちの連携も悪くない。
このまま体力勝負になったら分からないな。
バッテリーは……43%か。
結構減っているな。
履歴を見るとやっぱり神騎士での消費が大きいみたいだ。
この2人相手なら十分足りそうだ。
だったら少し無茶してみるか?
『ね、マスター』
『タイム? まさか時子になにかあったのか?』
『そうじゃないけど……あのね、今後のサポートはタイムじゃなくてルイエがやるって言ったらどうする?』
『なんだそれ。そんなの……まあ、それもアリなのかな』
『え?! いいの??』
『タイムに愛想を尽かされたら無理強いできないからな』
いつまでもタイムを縛り付けるつもりはない。
それにこの関係も前のマスターが見つかるまでだし。
『そんなことあるわけないじゃない。タイムがとかルイエがとか他のなにかとかじゃなくて、マスターはどう思ってるのってこと』
『俺は……タイムがいい。他のヤツになんか任せられない。そりゃドジなところもあるし抜けているところもあるけど、最初の頃と比べたらしっかりしてきたし、色々努力しているんだと思う。それになにより俺は……タイムが好きだ』
『ふえ?!』
『振られたのに女々しいとか思うだろうけど、それは変わらない。迷惑か?』
『ううん。迷惑なんかじゃ……その、時子より?』
『……分からない』
『そこは嘘でも〝時子より〟って答えるところでしょ。もう』
『ははっ、酷い男だな。二股掛けているようなもんだ。でも事実だ。幻滅したか』
『そんなこと……』
『タイムとは一緒に戦いたい。でも時子は守ってやらなきゃって思っている。ただ…………』
『ただ?』
俺が選ばれることはないんだろうな。
だって2人には……
『いや、なんでもない。でもそれは俺の我が儘だから、タイムは気にしなくていいんだぞ』
『ううん。タイムも他の人に任せたくない。ありがとう。それでね、1つお願いがあるの』
『お願い?』
『今から少しの間1人で頑張ってほしいの。タイムのサポートは必要最低限になるから、気をつけてね』
『またかよっ! ……サポートね。ルイエでもいいかも知れない』
『マスター?!』
『冗談だ』
『もーいじわる。ふふっ』
必要最低限……さっきと同じならそこまで酷くは……
う、有りと有らゆるAR表示が消えたぞ。
これだとアプリの効果時間とかクールタイムが分からないな。
いや、それ以前にアプリの効果が消えている可能性がある。
身体が重くなった気がするし……
これで魔神2人はかなりキツいぞ。
「なんだ、疲れたのか? 急に動きが悪くなったぞ」
「ふっ、このくらいのハンデがあった方が修行になるんでね」
「修行だと?」
「なら不慮の事故で死んでも文句は無いよな」
「お互いにな」
「減らず口を!」
次回、貴方もやったことあると思います




