第184話 選手交代
さすが魔神王様だね。
本気を出されたら手も足も出なくなっちゃった。
(ジジイの癖に矢鱈頑丈なのはなんなの!)
そうだね。
でもボクがしっかり応援できてない所為でみんなの実力が出せないんじゃない?
(そんなことないわ。あたしたちの実力不足よ。ごめんなさい)
(ぐるるる……)
(このおじいちゃん嫌ーい)
(無視するのー)
(つまんなーい)
「ふぉっふぉっ。どうしたのだ。手が止まっておるぞ。諦めたのならどいてくれんかの。なに、安心せい。進化の儀は直ぐ終わる。新しい世界が見えるようになるぞ」
「ふんっ! 汚い手で主に触ろうとすんじゃないわよ。風壁!」
「素は土。平なり。鋭利て。切り裂け」
「きゃあ!」
「ワシとて大事な客人を傷つけとうない。大人しくしてくれんかのう」
「それはできぬ相談じゃの」
「火鳥!」
「ボケジジイ! 魔獣はどうしたのよ」
「ボケとらんわっ! あの無礼者なら急に寝てしまいおっての。ほれ、あそこにおる」
「あそこ? ……うわっ」
「火鳥……あれは寝てるんじゃなくて」
「主、言いたいことは分かるよ。でもこのボケジジイには無駄なんじゃない?」
「まだ言うかっ!」
「ほう、ハツカを倒すか」
「まったく。おぬしの従者であろう。しっかり躾とかんかい!」
「そうだな。それはすまんかったのお。変わりといってはなんだが、ワシが相手をしてやろう。こやつらでは歯ごたえがなくての」
「なんですって!」
「ぐるるるる……」
「そうじゃの。従者の責は主人の責。代わりに償ってもらうとしようかの」
「ちょっと、勝手に決めないでよ。あたしはまだやれるわ」
「鎌鼬、後は火鳥に任せよう。みんな疲れきってるじゃないか」
「主……」
「火鳥、頼んだよ」
「ふぉっふぉ。そこは〝やれ!〟と仰ってほしいのじゃが、まあええ。アニカ様じゃしな」
「火鳥ー」
「ふぉっふぉっふぉ。さて、魔神王とやら、覚悟はええかの」
「ガイスト・エリュデインだ。カタヨクと言ったかの。少しは楽しませてくれるのだろうな」
「おぬし次第じゃよ」
次回、ゴッドなマーズです




