第171話 魔法対魔法
「さすが精霊。中々やるの。どれ、ワシもちと本気になってみるかの」
やっぱり魔神王様は本気になってなかったんだ。
杖を構えたぞ。
「素は火。素は風。混ざりて。燃えろ」
魔法だ!
魔神王様は魔法が使えるんだ。
精霊魔法とは全然違うけど凄いな。
でも魔神って魔人なんだよね。
魔法に使う魔力は何処にあるんだろう。
直ぐ枯渇しちゃうんじゃないの?
「あははは。火蜥蜴に火球って、バカじゃないの」
「ふぉっふぉ。そうだの。ならこれはどうだ? 素は氷。延びよ。貫け」
「オレ ツチカベ ツクル マモル」
「あん、もう。この程度大丈夫なのに。まぁいいわ。そんな無駄弾打って魔力持つの? 魔神って魔力作れないんでしょ」
「ふむ。ワシの心配をしてくれるとは、優しいのぅ」
「べ、別に心配なんかしてないわよっ。弱い者虐めにならないかなって思っただけよ」
「安心せい。アニカ殿を取り込めば問題は無い。ふぉーっふぉっふぉ」
「こいつーっ。風刃!」
「素は石。礫なり。弾けよ」
「相殺された?!」
「ぐるわぁ!」
「素は水。広がりて。遮よ。ふむ、ではこちらから行くぞ。素は星。素は幻。素は無。重なりて。切り裂け」
「ぐおぉぉぉっ」
「きゃああっ」
(む、マズいのう。アニカ様、大丈夫かの)
う、うん。なんとか……
(四精霊共よ、しっかりせぬか)
(あんたに言われたくないわよ。やられっぱなしじゃない)
(ふむ、ならば少し本気を出すかの。このままでは慣れる前に倒れられてしまうでの)
そうだよ。火鳥の力はこんなものじゃない。
ボクが足を引っ張ってるから……
うくっ。みんな、頑張って。
「ふぉっふぉ。言ってる側からこれじゃわい」
「あ? なにがだ」
「こっちの話じゃ。さて小童。羽根の使い方がかなり荒いのう」
「あ? なにがだ」
「よいか。この程度の羽毛量ならばただ振り回すのは非効率的じゃ。もっとしっかり操らねばならぬ。このようにな。そりゃ!」
「なっ。私の羽根と相殺させただと?!」
「ふぉっふぉ。よく見るのじゃ」
「なに? ……うっ、羽根の中心部を羽軸で貫いてやがる。しかも全部だと?!」
「まだまだ序の口じゃ」
「へっ、少しはやるじゃねぇか。もう手加減は無しだっ」
「ほっほ。年寄りは労らんといかんぞ」
「くたばれクソジジイっ!」
(さて、アニカ様は……ふむ。まだ難しいようじゃのぅ。ワシらにとっては嬉しいことじゃが、アニカ様が傷つくところは見とうないのじゃ。遊びと戦いは別物じゃと早う気づいておくれ)
次回、合流します




