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第167話 逆鱗は諸刃の剣

 さすがに魔神(まがみ)6人と交戦するのは厳しいな。

 しかも猫型魔獣が小さくて何処から飛び出してくるのか分かりづらい。

 でも時子が攻撃に回るって言ったのには驚いた。

 だから俺は防御と牽制に回っている。

 厳しいながらもなんとかなっているけど、ああっ! フブキっ!

 フブキの攻撃が全然効いていないなんて。


『モナカ、集中して』

『だってフブキがっ!』

『フブキの心配してる場合じゃないでしょ!』

『でもっ』


 ああっ、袋叩きじゃないかっ。


『多分力を抑えてるからじゃないかな』

『そうなのか?』

『だってフブキさんが本気を出したらデイビーさんたちが凍っちゃうよ』

『そっか。どうすれば……』

「わおぉぉぉーっ」

『モナカ、新手よっ。くっ、[短縮3番(ファイヤーウォール)]!』


 あっ、フブキのところの狼が1匹こっちに来たのか。

 でも劣勢なのは変わらないみたいだ。

 凄く暑そう。


『モナカっ! いい加減にしてよっ』

『そ、そうだな。魔獣が厄介だな。あの炎狼は厄介そうだ』

『炎……氷狼でしょ! [短縮5番(ストーンバースト)]! もう。きゃっ、[短縮2番(ファイヤーアロー)]! お姉ちゃん、魔獣なんとかできない?』

『分かったにゃ!』

『やるわん!』

『タイム? 大丈夫か?』

『ふっ、猫は任せるにゃ』

『狼を倒すわん』

『気をつけろよ』

「そこにゃーっ!」

「にゃう!」

「覚悟するわんっ!」

「がるるるるっ」


 よし、厄介な魔獣が離れたぞ。


結界師(タイム)、フブキたちを結界でおおってくれ』

『任せてくだっひゃあ! あのおっきいわんちゃん……だよね』

『大丈夫、怖くないから』

『うう……が、頑張ります』


 ふう、これで魔獣はなんとかなりそうだ。

 後は魔神(まがみ)に集中だ!


『行くぞ時子!』

『…………』

『時子?』


 う……なんか無言で応戦しているぞ。

 しかしこいつら、てんでバラバラに攻撃してくるな。

 これだったらまだオオネズミの方が連携取れているぞ。

 お陰でわりかし対処しやすい。

 それでもオオネズミより火力だけはあるからな。

 あんまり気は抜けない。

 幸いなのは爪や蹴りとかの肉弾戦ばかりだから集中砲火は免れている。

 連携が取れていて波状攻撃とかされたらマズかった。


『タイム、俺と2人で前衛で行くぞ。時子は後方から支援で頼む』

『分かった』

『…………ぷいっ』

『時子?』

『…………勝手にすれば』


 なんで機嫌が悪いんだ?

 なんかしたっけ。


「おい、もう1人あの女が出てきたぞ」

「一体何処に隠れてたの」

「どういうことだ」

「どっちだ」


 どっち?

 もしかして魔神(まがみ)の狙いは時子かタイムのどっちかなのか。

 そういえばさっきから俺より時子の方に集中していたような……

 狙いは時子? なんでだ?


「分かったぞ。後ろのヤツだ」

「分かるの!」

「よく見ろ。前のヤツは胸が小さい。本命は後ろの大きい方だ!」

「お、おお。なるほど」

「……これだから男ってやつは」

「嫌ねぇ」

「なにが小さいって?」

「タイム?!」


 ヤバい、スイッチが入ってやがる。


「なっ、貴方に用はない。死ねっ!」

「死ぬのはお前だっ。タイム・オブ・ターイム! 魔法騎士(マジックナイト)、タイムちゃん」


 魔法騎士(マジックナイト)?!

 まさか魔法が使えるのか?

 いや、魔法少女になっても使えないんだから使えない……よな。

 あれ? 3頭身の(小さい)タイムも色違いで、えーと……6人出てきたぞ。


「いけーっ!」

赤矢(レッドアロー)!」

青龍(ブルードラゴン)!」

緑疾風(グリーンゲール)!」

土棘盾ブラウンスパイクシールド!」

白剣(ホワイトソード)!」

黒雲(ブラッククラウド)!」


 おお! 色取り取り属性豊かな攻撃……に一見して見えるなあ。

 所詮どれもこれも無属性物理アタックなんだけど。

 (クラウド)なのに纏わり付かず打撃になるのは疑問符しか出てこない。


「ぐわああああああっ」

「いけいけいけいけっ! 二度とその口が開けないようにしてやるっ!」


 ……っておいおい。いつまで連射が続くんだ?

 全然途切れないぞ。


「っはははははは。死ねっ死ねっ死ねっ!」

「………………」

「ボギー!」

「くっ、どうなってんだ。胸の小さい方も強いぞ」

「小さくないもんっ! ぅわああああああっ」

「ぐぅぅっ」


 ダメだ、完全に我を失ってやがる。

 というかヤバい。


「タイム、止めろっ!」

「どいてマスター、そいつ殺せないっ!」

『バッテリー残量を見ろっ』

『……あ』


 危なかった。

 あの減り方じゃあと数秒遅ければ空になるところだった。


「時くぉむっ!」


 機嫌が悪かったから渋られるかもと思ったんだけど頼もうとした瞬間に唇が重ねられていた。

 まさか戦闘のまっただ中でキス……じゃなくて充電をするハメになるとは。


「くっ、呑気に繁栄の儀なんか始めやがって」


 違います。


「舐められたもんね」


 逆ですから。


「だからあのとき殺しておけばよかったのよ。ドライバー、責任取りなさい」

「分かってる」


 また時子の髪が短くなってしまった。

 腰ぐらいか?

 というか時子、もう十分だぞ。


『ごめんなさい。サポートに回るね』

『分かった。時子、ありがとう。もう大丈夫だぞ』

『…………ふんっ』


 う……なんで機嫌が悪いんだよぉ。

 俺なんかした?

次回、わんにゃん大戦争

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