第163話 それぞれの相手
どうやら向こうも魔神王の邪魔はさせないって感じらしい。
こっちにとっても好都合だけどな。
……が、なんかバランス悪くない?
殆どの魔神が俺と時子に対して敵意を向けてくるんだけど。
その中にドライバーさんも居る。
相方の敵だって事なんだろうけど、時子がやったってバレていないよな。
俺たちのうちの誰か……位にしか思ってないと思うんだけど。
「人間、ここから先には行かせません」
「ドライバーさん、俺の名前忘れちゃったんですか?」
「気安く名を呼ぶなっ。女、貴方がワンを殺したんだな」
えっ、なんでそれを知っているんだ。
「手加減はしない。私たちで敵を討つっ」
『一旦離れるぞ。ここだとアニカの邪魔になる』
『分かった。牽制するね』
「うわっ」
「くそっ」
よし、時子の[石弾]でヤツらが怯んだぞ。
「逃がすかっ」
「追いかけるぞ」
よしよし、付いてくるな。
って、なんか俺と時子に向かってズラッと魔神達が襲いかかってくるんだけど。
ああっ! フブキには神獣が束になって!
「フブキっ!」
「わふっ!」
予定通りっていえばそうなんだけど、猪型2匹と狼型2匹の計4匹の神獣が向かっているぞ。
「フブキーっ!」
「フブキならあの程度大丈夫よ。それより鈴を心配したら」
「鈴なら船の中に居るんだから安全だろ」
「えっ?」
「……ん?」
「そうね、船の中なら安全ね」
フブキ、大丈夫かな。心配だけど……信じるしかないか。
デイビーには……あ、ダボさんだ。と、その神獣……鶏?
ナームコには魔神と……あれって水牛だよな。
鶏も水牛も神獣……なんだよな。
で、俺と時子にドライバーさん率いる魔神6人……と猫1匹? 当然神獣だろう。
戦力裂きすぎじゃありませんか?
ワンさんを倒したっていう実績からこの布陣なのか。
上等だ。アニカを救うためにも乗り越えてみせるっ。
「わうーっっっっ!」
……え?
いきなりフブキの冷凍攻撃かよっ。
そんな飛ばして大丈夫なのか?
……あ、猪型の魔獣が2匹とも凍り付いている。勝負アリか?
いや、狼型は難なく耐えているぞ。
よく見ると炎狼と氷狼か?
フブキの冷気に耐えるとか、中々強いな。
「プラワン!」
「ウッドサン! やったわね」
「おっと、おまえらの相手はフブキじゃない。フブキと闘いたければ俺を倒してから行け」
「私たちの目的を忘れるな」
「チッ」
「魔神王のため、貴方方は近づけさせないわっ」
「いいのか? 魔神王に加勢しなくて。精霊達は強いぞ」
「自分の心配をしたらどう?」
「俺たち3人に勝てるとでも?」
「ほざけっ」
魔人戦か……デニスさんより弱いと思うけど、さすがに人数が多すぎる。
フブキだって多分あれが一番強い攻撃だよな。
それがあの狼には通じなかった。
厳しいな。
「モナカ、一気に行くよ」
「あっ、ダメだよここで広範囲魔法使っちゃ!」
「え?」
「どうせ火嵐とか使おうと思ったんでしょ」
「ダメなの?」
「マスター達は問題ないけど、フブキさんやデイビーさんは効果を受けるからね」
「ええっ」
その言い方だと時子の攻撃魔法は俺に効果が無いってことか?
でもフブキには効果があると。
これもやっぱり魔力が関係している?
でも補助魔法は……深く考えても仕方ないか。
「大体それで自爆したのは誰?」
「……ごめんなさい」
「各個撃破しか無いな。やるぞ」
「うん」
「分かった」
次回、緒戦はあの方です




