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第161話 王手づから

「王、アニカ様をお連れしました」

「うむ。アニカよ、これよりワシ直々に進化の儀を行う。付いてまいれ」

「……はい」


 魔神(まがみ)王様自ら食事の用意をしてくれるのかな。


(そんなわけなかろう)


 そうかな。

 進化の儀ってあの毒素入りのご飯を食べることでしょ。


(その毒素じゃがな)

(あのジジイから同じ匂いがするじゃない!)


 えっ、それって。


(ジジイの毒素が混ぜられてたってことよ。あー気持ち悪い)

(食事ではなく直接くるやも知れんのじゃ)


 直接かー。


『モナカくん、これから進化の儀が始まるんだけど……なんかちょっと雰囲気が違うよ』

『進化の儀?!』

『うん。魔神(まがみ)王様が直々にするんだって。でも食事じゃないみたいなんだ。精霊たちが警戒してる』


(お前たちは魔神(まがみ)王の相手をするのじゃ。ワシは魔獣を相手しよう)

(あのジジイを?!)

(できるじゃろ)

火鳥(カタヨク)が楽すぎない?)

(あの鳥は中々に手強いぞ。それにやることもあるしの)

(やること?)

(そういうわけじゃ。こっちはこっちでなんとかするからあっちは任せたと伝えるのじゃ)


 分かった。


魔神(まがみ)王様とその神獣はボクたちでなんとかするから、邪魔が入らないように魔神(まがみ)様たちはモナカくんがなんとかして』

『アニカが魔神(まがみ)王をか? 大丈夫なのか』

『んー、火鳥(カタヨク)が本来の力を出せれば楽勝だと思うんだけど……多分大丈夫。精霊たちを信じて』

『……分かった。無理はするなよ』

『うん。モナカくんもね』


 で、どうするの?


(まずは大人しくしておるのじゃ)


 大人しく……何処まで行くんだろう。

 畑に囲まれた道をドンドン進んでいく。

 でもずっと地下に閉じ込められていたから青空の下を歩けるのは気持ちがいいな。

 走りたい気分だよ。


(なら走って逃げたらいいじゃない)


 ははっ、足が遅いから直ぐ捕まっちゃうよ。

 でも結構な距離を歩いたね。

 もう周りに誰も居なくなっちゃった。


(そうね。もうあたしたちとジジイ共しか居ないわ)

(ほう、どうやら目的地はあそこらしいの)

(なんか、焦げた跡があるわね)


 ホントだ。ちょっと焦げくさい臭いがしてきたよ。


(どうやらあそこでモナカ殿たちがやり()うたようじゃの)


 なにを?


魔神(まがみ)殿とじゃ)


 どういうこと?


(いつものことじゃろうて。ここで魔神(まがみ)殿を倒して燃やしたのじゃろう。ワン殿とその神獣殿の痕跡がある)


 ワンさんを?


(それが用事だったのじゃろう)


 そうなんだ。

 でもそんなところに来てどうするんだろ。


(なに、アニカ様に責任を取らせるつもりじゃろうて)

(なんでモナカの責任を(あるじ)が取らなきゃいけないのよ)

(ふぁっふぁっ、ワシが知るわけあるまいて)

(っとに使えないジジイね。肝心なときにボケるんじゃないわよ)

(ワシがいつボケたというんじゃ)

(ボケてるからボケたことを忘れてんのよっ!)

(なんじゃと!)


 まぁまぁ、その辺にしておこうよ。

 魔神(まがみ)王様が足を止めたよ。


「ふむ。アニカ殿、進化の儀とはどのようなものだと心得ておる?」

「え?! えーと、人を魔神(まがみ)化する儀式です」

「しかしアニカ殿は一向に兆しが現れぬのぉ」

「そうですね」


 だって魔神(まがみ)になんかなりたくないもん。


「そこでだ。ワシ自ら進化させてやろうと思うての」

「え、あー。ありがとうございます?」

「なに、すぐ済む。ワシを受け入れるのだ」


 受け入れるって、手を広げてなにをしようっていうんだろう。

 ひっ、身体から触手みたいなのが伸びてきたよ!


(む、いかん。こやつアニカ様を取り込む気じゃ)


 え?! うわっ。


「あたしの(あるじ)になにするつもりよっ」


 鎌鼬(ワールウィンド)! ありがとう。


(フン。面倒だけど、(あるじ)を守るのは当たり前でしょ)


「ほう。確か精霊という存在だったかの。懐かしい。ハツカ、相手をしてやりなさい」


 ハツカさん?

 うわっ、大きな鷹が空から突っ込んできた!


「おっと。お前さんの相手はワシじゃ」

「まだ精霊がおるのか。しかし、片羽片足の火だるまがハツカに勝てるかの」

「ふぉっふぉっ。後は任せたのじゃ」

「おお! 片羽で飛ぶとは、器用だの。まあよい。精霊よ、ワシを止められるかの。ほれほれほれ」


 さすが王様だ。鎌鼬(ワールウィンド)が手も足も出ないよ。


(そんなこと感心しないで! あんた達、いつまでサボってるの。あたしの(あるじ)を守りなさい!)


「うおっ。素晴らしい。同時に四体、いや五体もの精霊を召喚できるとは……益々気に入ったぞ」

「勘違いしないで。あたし達は好きでここに来てるの。召喚なんてされてないわ」

「なに? まさか……ふふふふふふふぁっふぁっふぁっふぁっふぁっ。そうかそうか。アニカ殿は両目なのだな」

「! 貴方はご存じなのですか」

「さての。昔のことだ。しかし、さすがに四体同時はキツいのお」

「王!」

「来るでない。そんなことより邪魔が入らぬようにしておけ。そろそろ来るであろうの」

「〝来る〟?」

「なにがですか」

「うわあ!」

「なんだ」


 アトモス号だ!

 確か対人用機銃だっけ。

 魔神(まがみ)様達に向けて撃ちまくってる……あ、止まった。


「くっ、不意打ちか」

「大丈夫か」

「ああ、なんとか」

「アニカ! 今助けるからな」

次回、七色戦隊レインボーマン

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