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第149話 この先関係者以外立入禁止

 続いてシャワー室。


「シャワー?」


 結局タイムは俺の首にしがみついてきてそのまま動かなくなったから俺が解説することになった。

 肩車は止めたらしい。


「やってみたい!」

「ダメです」

「えー?! なんでよ!」

「次行きますよ」

「いいでしょ! ねー」

「服を脱いでも使わせませんっ。言うこと聞かないなら見学を中止にしますよ」

「さー次行こうか」


 ここまで扱いやすいと逆に不気味だ。

 というか服を着ろ服を!


「ここがロッカー室」

「ロッカー?」

「個人用の小さな倉庫みたいなものです」

「個人用?! なにそれ!」


 個人用といってもロッカーは4つしかない。

 俺と時子とアニカと……エイルの4人分。

 鈴ちゃんの分は時子のロッカーに入れている。

 ナームコとデイビーの分は無い。

 エイルの私物を片付ければ1人分空くけど……


「で、この奥が銃座です」

「ジュウザ?」

「えーと、銃を撃つための座席です」

「ジュウ?」

「強力な弓……かな」

「ふーん。撃ってみてもいい?」

「ダメです」

「ケチー」

「兄様、よろしいではございませんか」

「ぃやったー!」

「ナームコ、勝手に許可を出すな」

『弾は装填されていないのでございます』

『だからってなー』

『また駄々をこねられても面倒なのでございます』

『……ナームコがいいならいいけどさ』

『ありがとうございます』


 いや、礼を言うべきはナームコじゃなくてナユダさんだろ。

 絶対言わないけど。


「なにこの椅子!」


 そういやめっちゃ豪勢な椅子だったっけ。

 場違いなデザインだよな。

 装飾がこれでもかってくらい施されているし、クッションもふっかふかだ。

 誰が見ても銃座には見えないぞ。

 というより完全にナームコの私室と化していないか。

 確か改造して取り付けたんだっけ。

 元々なにがあったんだろう。

 なんにしてもここの説明はナームコに任せておけばいい。


「ここを引くの? えいっ……なにも起こらないんだけど」

「敵が居ないのでございますから矢を放つ必要も無いのでございます」

「えー。つまんないの。いいじゃん。試し打ち、ね!」

「兄様、如何致すのでございます?」

「許可できるかっ」

「えーっ?!」

「えーじゃない」


 やっぱこうなるよな。

 で、最後にブリッジなんだけど……気が重いな。

 このまま案内しないで終わりにするか。

 よし、そうしよう。

 どうせ分かりゃしないって。


「以上です。さ、もういい時間ですし、戻りましょう」

「えーもう終わり?」

「終わりです。あんまり遅いとまたダボさんに捕まりますよ」

「それはイヤだー!」


 っはは。

 誤魔化せたみたいだな。

 さ、戻ろう戻ろう。


「兄様、わたくしとスズ様はアトモス号に残るのでございます」

「なんでだ?」

「念のためでございます」

「念のため? それは構わないが、なんで鈴も一緒なんだ」

「アトモス号を動かすために必要なのでございます」

「動かすのか?」

「万が一の場合なのでございます」

「万が一……か。それは俺たちがやったとバレたときの話か?」

「さすが兄様。素晴らしい慧眼をお持ちなのでございます」

「分かった分かった。鈴はどうしたい?」

「うゆ…………う、残()ます」


 本当は残りたくなかったんじゃないのか?

 明らかにナームコの顔色を見て決めただろ。

 ただ、連れていく……アトモス号を動かすのに必要無い……鈴は要らない子、なんて変換が成立しそうで怖い。

 それにナームコの懸念も無視できないし、鈴ちゃん自身が残ると言った以上無視は出来ない……か。


「分かった。ナームコ、鈴をよろしく」

「心得ているのでございます」

「おやすみ」

「おやすみなさい」


 鈴ちゃんをギュッと抱き締める。

 今後もこんなことが続くのかな。

 ちょっと寂しい。


「良い子にしてるのよ」

「はい」


 時子も抱き締める。


『タイムはいいのか?』

『…………』


 いつまでむくれているんだか。

 仕方ない。戻るとするか。


「バイバーイ」


 鈴ちゃんは俺たちが見えなくなるまでずっと手を振り続けていた。

次回、忘れてはならないシーンです

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