表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/216

第114話 ターゲットは……

 中に入ると今回はまだ誰も居なかった。


「誰も居ませんね」

「そうだな」

「だって今から呼ぶんだから、居なくて当たり前だよ」

「今から呼ぶ? どうやって?」

「ん? これを押すだけだよ」

「これ?」


 押すと言っているが、ボタンがあるわけじゃない。

 掌サイズで縦長の板のようなものが壁に張り付いている。

 何度も押されているのか、真ん中がテカテカとしている。

 それを掌でタンッと叩いた。

 ……なにも起こらない?


「なにも起こらないようですね」

「そうだな」

「そうなんだよねー。これ本当に押せてるのか分かりづらくて困るんだよ」

「で、押すとどうなるんですか?」

「だから、みんなが集まってくるんだよ」

「そういうことではなく……」

「ん?」


 聞くだけ無駄か。

 〝川は川だよ〟って言うくらいだ。

 〝ボタンを押したらみんなが集まってくる〟以上の情報は無さそうだ。


「なんでもありません」

「変なの。とにかく少し待ってれば何人か来ると思うよ」

「何人か?」

「そ」


 適当だなぁ。

 本当にリーダーなのか?


「それは来ない場合もあり得る、ということで御座いますか」

「あーそうだね。来なかったこともあるかな」


 あるんだ。


「しょうがないよ。みんな仕事があるからね」

「そうですか」


 仕事の合間を縫ってここに来るんだっけ。


「どのくらい待てばよろしいのでしょうか」

「さあ?」


 さあって……

 そんなんでいいのか。


「皆様を待つ間、先にお話をして頂けませんか」

「えーヤだよ。二度手間じゃん」


 そうかも知れないけど。


「では、要点だけでもお願いできますか」

「要点? んー、今日倒す魔神(まがみ)が決まったからその話し合い」

「左様で御座いましたか」

「って、〝今日倒す〟?!」

「五月蠅いなー怒鳴んないでよ」

「あ……すみません。じゃなくて! ……魔神(まがみ)を倒すんですか?」

「ここに来たとき話したよね。魔神(まがみ)からの解放だって」

「そうなんですけど……」


 今日?!

 前々から計画を立てるものじゃないのか?

 今日って……行き当たりばったりじゃないか。

 しかも招集も難しいのに今日?

 戦力が揃うのか?


「となると、俺たちが呼ばれたってことは」

「戦力として数えてるよ」


 やっぱりかっ。


「僕たちに戦えと仰るのですか」

「協力してくれるんでしょ」

「主役は貴方たちです。僕たちはあくまで後方から支援をするのみ。主力と思わないで頂きたい」

「えー?!」


 主力として考えていたのかよ。


「戦力は出し惜しみしたら勝てないんだよ。勝つためならなんだって使うわ」

「今までも勝ってきたのではないのですか。これは憶測ですが、ウッド様を倒したのは貴方たちではないのですか」

「ウッドさんてワンさんの前の魔神(まがみ)か? 確かナユダさんが魔物に襲われたときに助けてくれた魔神(まがみ)だよな」

「恐らくナユダ様が囮になって魔物に襲われたところをウッド様が救出に入られた。そして戦闘で疲れたところを……違いますか」

「……そうよ」


 マジか。


「では今回もそのようにされては如何ですか」

「今回はちょっと違うのよ」

「違うとは?」

「普段なら魔神(まがみ)と神獣が1匹ずつなの。でも今回は神獣が2匹なのよ」


 魔神(まがみ)を1匹扱いか。

 表と裏でこうも違うんだな。


「その情報は確かなのですか」

「あとはみんなが来てから話すわ」

「ふむ……」


 みんな……ね。

 どのくらい待てばいいのかな。

 招集方法がいい加減すぎる。

 こんなんでよく組織として成り立っていたな。

 でもそんな組織でも魔神(まがみ)を倒すことが出来ている。

 印象よりしっかりした組織なのかも知れない。


「ではどの魔神(まがみ)様が標的なのかだけお教え願えますか」

「…………第三集落の魔神(まがみ)、ワンよ」

「ワンさん?!」


 まさかワンさんだとは……


「どうしてワンさんを選んだんですか?」

「選んだわけじゃないわ。ワンの情報が得られたからよ」

「それはどんな――」

「だからみんなが来てから話すってば」


 ……気が重いな。


『船長、いずれはワン様も駆除対象になるのです。ただそれが最初だっただけのこと』

『それは……そうかも知れないけど』


 〝駆除対象〟か。

 分かってはいるけど、やりづらい。

次回、終わりません

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ