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コント『小説投稿サイト』

作者: 葦原とおる

B…ボケ T…ツッコミ


B「なあ、『小説家になったろか』ってサイト知ってる?」


T「小説投稿サイトだろ? よく使ってるよ」


B「小説読むだけ? それともなにか書いてみたん?」


T「実は少しだけ書いてみた。あのシステムって恐いな! 作品を投稿した後になにも反応なくて、そわそわとアクセス数確認してみたら見てる人は結構いたんだよ! ただ反応がないだけなんだ!」


B「それな! 人の反応で一番恐いのは無関心とか聞いたことあるけど、あのサイトでオレも思い知ったわ!」


T「おまえもなにか投稿してたんだ?」


B「投稿しまくった。人気の出そうなタイトル考えて、とにかく書きまくったわ」


T「へえ、たとえばどんなやつ?」


B「最近だと、『キリギリス無双! 働かない奴はうちから出ていけと嫁に罵倒されたキリギリスですが、SSSランクスキル【働かないでいるほど収入アップ】を習得しました! 嫁ざまぁ! 頼むからニートに戻ってくれと泣きつかれてももう遅い。オレはアリさんと一緒に汗水流して働きます!』ってヤツだな」


T「一見ありがちなタイトルだが、そのキリギリスってのはどう無双するんだ? 真面目に働いたらスキルの意味なくない?」


B「そう、それな! オレはそういったツッコミとか感想が欲しかったわけです!」


T「ああ~、ということはその作品も感想がつかなかったわけか」


B「いや、これには一つだけ感想ついたけど」


T「へえ、良かったな!」


B「こんな感想でもか?『タイトルの前半を見て働かないキリギリスが無双して嫁ざまぁ展開かと期待してたら、タイトル後半でキリギリスが真面目に働いてて草。本文読まずにブラバ余裕』」


T「そ、そんなこと感想に書く人いるん?」


B「その感想を見た瞬間、オレのハートは角を叩かれた強化ガラスのように一瞬で粉々だったね!」


T「うまい! 強化ガラスって角を叩くと粉々になるんだってな!」


B「うまいとか言うな! で、その感想以外にはなんの反応もなし。誰か見てるはずなのに、オレの作品はステルスか!」


T「そんなに気にすることなくね? 読んで感想残してくれる読者なんてほんの一握りだよ。たまたまだと思えばいいさ」


B「いいえ! オレは思いました! これほど感想と評価がつかないのはサイトのシステムに問題があるせいだと!」


T「どんな?」


B「いいか? 作品を読んでいちいち感想を書いたって利益がない! だから感想を書く人が少ない!」


T「感想や評価なんてそんなものだろ? あれは自分の好きな作品や頑張ってる作者を応援したいからするものだ。だいたいそう言うおまえは人の作品に感想を書いたり評価したりしてるのか?」


B「そ、それくらいたまにやってるわ! だけどあいつらちょっと辛口の感想残したくらいでユーザーブロックとかしてくるぞ? オレみたいな強化ガラスのハートじゃ恐くてよう感想書けんわ!」


T「辛口の感想を読みたいって人は少ないだろうからな。おまえもさっきは嫌な感想書かれたってこぼしてただろ?」


B「あいつな! 速攻でユーザーブロックしてやったわ!」


T「それだよ。そういうのがあるから」


B「とにかく! 今の小説投稿サイトに圧倒的に足りないもの! それは感想残す読者と批評家の数だ!」


T「まあ、それは言えてるかもな」


B「そこで改革案だ! サイトを利用するのにポイントがあると便利なようにする。ポイントは作品を読んで批評や感想を書いたらもらえて、そのポイントでブクマできる数とかフォルダを増やせるようにする。さらにポイントで称号とかもらえて、読者としてのランクも上げられる。そんなサイトを作るんだ!」


T「また大きくでたな。サイトを作るときたか」


B「実はすでに作りました!」


T「ウソだろ! ホントに作ったの!?」


B「その名も『小説批評家になったろか』っていうサイトだ!」


T「小説家じゃなくて、批評家のほうがメインか!」


B「このサイトじゃ作品を読んだら五回に一回は感想か批評を残さんとペナルティでポイントが減る!」


T「それ縛りきつくない? でも作者としては励みになるのか?」


B「そして、そのサイトにオレ自身が例のキリギリス無双を投稿した結果ッ!」


T「すでに投稿してたんか! それで結果は?」


B「みごと感想がついた! それも一言というか、一文字だけの感想で、草、と!」


T「草というと、あの雑草の草か。なるほど、たとえ一文字でも感想には違いない」


B「アホー! こんな感想があるか! オレはすかさず感想は二十文字以上とサイトの規約を変更した!」


T「あ、なんか先が読めるけど、それで?」


B「今度は二十文字分の草が感想に並びまくった! オレの感想欄はいまや大草原だ!」


T「ははは! やっぱりな。それならいっそ『草無双!』とかいって小説書いてみればいいんじゃね? それなら感想欄が草ばかりでも違和感なくなるぞ?」


B「天才かッ!? さっそく書いてみるわ! 草原王に、オレはなるッ!!」


T「それでいいんかーーーい! もうええわ!」


---後書き---


これを書き上げたあと、ふと気になって『転生したら草』で検索したところ、驚きの5作品様がヒットしました。結果こちらの内容を少し修正しております。なろうとはまったく油断のならない世界……。

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[良い点] 作者名、あとがきも合わせて草生えますた あざっす!
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