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精神科病棟の少年

作者: 語り手





 ところで、僕は病気らしいんだ。病名は『人の気持ちが分からない』って云うらしいんだけど、僕は普通のことだと思うよ。だって皆僕の気持ち、全然分かってないじゃないか。やっぱりね。じゃあ何で僕だけこんな湿っぽい病室に閉じ込められているのさ。可笑しいね。可笑しいね。でもね、僕だって僕にしか出来ないことを知っているんだ。今日は特別に教えてあげるよ。それは、『僕の気持ちが分かる』って事。すごいと思わない? 誰にでも出来ることじゃないよ、本当さ。だって皆「自分の気持ちが分からない」だとか「何がしたいんだろう、私」だとか。でも僕は『僕の気持ち』が分かるよ。人間って元来そういうものだったでしょ。

君はどう思う?

 「彼らは怖いんだと思うよ」語り手は言う。

僕が怖いの? 

分からないな。

 「君と云うより例外って言葉に」語り手は語る。

 

 自分の気持ちが分かって人の気持ちが分からない。躊躇の無い恐ろしさがそこにはあった。

 彼が異常なのか正常は、誰にも分からないし、そもそもそんなもの誰が決めたのかも分からない。ただ、精神科病棟の一室で少年が死んでいると云う事実だけが現実に残った。勿論、比喩として。





 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 添削する前とはまた違った雰囲気になりましたね~。前は病気のことは中盤に書いてありましたが、逆に一番最初の方に持ってきたんですね。いつも語り手さんの詩には驚かされますが、また驚かされました。…
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