17.宣戦布告の前に
数日後、祐藤は家臣たちを集めて次の目標を村上家と定めた。
そして祐藤は攻略に向けての準備として次のようなことを家臣たちに述べた。
祐藤
「攻略先を村上家に決めたが、念の為に使者を出して長継殿の意向を確認しておこう。万に一つ、村上家が我が志太家の軍門に降ることがあれば要らぬ戦いを避けることができるであろうしな。」
村上家は、先代の長馬の時代より他の大名家に従うことを良しとしない思想である。
しかし長馬の死後、家督を新たに相続した長継に代替わりした時期からは、戦に対して消極的な意向を見せていたという噂を祐藤は聞いていた。
戦争をけしかける前に使者を出してうまく丸め込むことができれば戦わずして村上島が手に入るかも知れないのだ。
全面戦争となれば村上島の国土は他の大名家に比べると広大な為、苦戦を強いられることも十分に考えられることもあってかこの交渉は何としてでも成功させておきたいところである。
貞勝
「祐藤様、そのお役目は拙者に任せてもらえませぬか。必ずや長継殿より良い返事がもらえるよう交渉いたします。」
志太家の政務団長であり、外交業務の兼任も行っている吉江貞勝が口を開いた。
貞勝は過去にも幾度となく志太家の危機をその外交手腕で乗り切った実績があり、今回の交渉にも役立てられればと考えていたようである。
祐藤
「うむ、わかった。貞勝殿に村上家の交渉を任せようぞ。ただし、交渉が決裂した時は宣戦布告を突きつけるがよい。」
貞勝
「ははっ、お認めいただいて有難き幸せにございます。それでは早速、村上島へ向かわせていただきます。」
そう言うと貞勝は志天城を後にして単騎で村上島へ向かうのであった。





