13.黒子立て直し計画
黒子城に配属された義道は、家臣であった松永国輝と沖国時が出奔前に行った内政事業を即刻中止させた。
義道
「こんな内政では黒子も栄えるわけがなかろう。まったくあの二人は一体何をやっておったのじゃ。」
実際に二人が行っていた内政事業とは、悪政と呼ばれるほど酷い現状であったという。
信常が発明した豊作布屋根を採用していた黒子城では、天候に左右されずに常に安定した収穫がされているのを良いことに年貢の率を異常なまでに釣り上げていたのである。
これには領民たちも困り果てており、生活に困窮して他国へ亡命する者も少なくはなかったという。
更にたちが悪いことに祐藤には通常の年貢で治めたとの報告をあげており、収益に関しても通常よりも少なく申告していることが発覚した。
また、隠されていた収益は二人が出奔の際に全て残らず持ち出していたという有様だった。
義道
「兄者の目は節穴か。まあよい、これから黒子の地をこの義道様が栄えさせてやろうぞ。」
義道は黒子城の内政を立て直すべく次のようなお触れの案を出した。
①年貢の税率を他の領地よりも低く設定
②取り過ぎていた年貢を領民たちに返上
③黒子城において志太家に士官した者を含む家族は年貢の税率を通常より更に低くする
④亡命した者(黒子からの出戻り含む)の年貢を一年間において免除する
高過ぎる年貢の税率を急激に下げるなどして領民の信頼を取り戻す策である。
また、亡命した者に対しても優遇するなど寛大な処置を施すことで黒子の人口の増加が期待できる。
しかし、これはあくまで義道が掲げた理想の内政であり、実行するとなれば莫大な予算がかかることは明らかである。
そこで思い立った義道は、早々に祐藤の元を訪ねた。
義道
「まずは民たちの心を掴むことが内政では肝じゃ。しかし実行するには費用が足りぬ。兄者、手伝ってくれぬか。そうでもせぬと黒子は永遠に栄えぬぞ。」
今回の内政で行う莫大な予算についての援助を交渉する為であった。
祐藤
「どうやら今回の黒子の件は儂の失策じゃな。良かろう、黒子での内政の予算は儂が全面的に協力致そう。」
大名でありながら領地の現状を把握出来ていなかったという非を認めた祐藤は、義道に申し訳なさそうに言った。
これにより黒子での内政は、祐藤による全面的な援助のもとで行われることとなったのである。





