08.祐信の乱(3)
忍からの報告を聞いた祐藤は立ち上がり、崇数に向かって言った。
祐藤
「この城のどこかに抜穴が必ずあるはずじゃ。祐信らの兵はそこから城内に侵入しようとしておる。見つけ次第、先回りをして迎え撃つのじゃ。」
崇数
「抜穴ですか。しかしこの志天城は完全無欠の城と称される故、かような物が本当にございますでしょうか。」
祐藤は、次のような理由から抜穴の存在があることを崇数に説明した。
①謀反を起こした首謀者の一人である政景が祐藤に居城の移動を提案してきた
②提案した移動先の居城は、政景が改修の施工を行った池山城改め志天城である
③極秘に抜穴を造ることは政景が施工の権限を手にしている故、容易である
④今回の謀反時に城門破壊を指示するにあたって、祐信及び政景の二名はその周辺に陣を敷いておらず不在である
⑤不在である故、二名は抜穴から天守までを目指す為の指揮をとっていると思われる
これらは祐藤の憶測でしか無かったが全て紛れもない事実である。
当初は疑っていた崇数ではあるが、祐藤の説明した理由を聞くうちに非常に納得した様子であった。
この短い時間に憶測を事実であるかのように納得させる力は、祐藤が商人使用人時代に磨かれた弁舌の才能を持っていたからこそ成せる技であろう。
すぐさま祐藤らは城内の兵たちに抜穴を探すように命じ、城内のありとあらゆる場所を虱潰しに調査させた。
それから一刻ほど時が過ぎた頃、一人の兵から天守付近に城外へ通じる抜穴らしき通路を見つけたとの報告が舞い込んできた。
祐藤
「やはりあったか。祐信らもこれまでじゃな。覚悟して待っておるが良い。」
祐藤は発見された抜穴を見つめながらそう言った。





