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架空戦国伝  作者: 佐村孫千(サムラ マゴセン)
第10章 異国の大決戦編
538/550

41.ワニアの戦い(33)

祐永は自身らに攻撃を続ける政武に対して説得の言葉を掛ける。

だが耳こそは傾けていたものの、納得する気配は感じられなかった。

最早どうにもならない…

連合軍の者たちは誰もがそう思い始めていた。


それに業を煮やしたアテヌが急かすようにして彼に言う。

さっさと連合軍の将たちを討ち取ってしまえ。

それに対して祐永は、なおも説得の言葉を発していた。


その直後に政武は素早く振り向き、鉄砲を構えて砲撃。

辺りには一発の銃声が響いていた。


やがて銃口から立ち込めている硝煙に息を吹きかけて政武が言う。


政武

「まったく、いちいち癪に障る野郎だぜ。ふっ。」


アテヌ

「ぐっ…な、何をする…」


政武

「あんたのその甲高い声、うっとうしいんだよ。アテヌのおっさんよ。」


どうやら政武は、アテヌに対して砲撃を行っていたようである。


崇房

「政武殿…政武殿?」


この突然の出来事に崇房は混乱していた。

すると政武は軽く頭を下げた後に彼に対して口を開き始める。


政武

「崇房さんよ、さっきはひでえことを言ってすまんかった。あんたは紛れもない鬼だよ。俺ば認めるぜ。」


政武は、先刻に自身が崇房に対して浴びせた罵声について謝罪の言葉を述べていた。

同時に彼を「鬼の口羽」と名乗るに相応しき存在であるとまで言っていた。


政武の顔を覗き込むようにして祐永が喋り始める。


祐永

「政武…お前、いつから我らの申しておることが分かっておった?」


すると政武は真剣な表情に切り替えて喋り始める。


政武

「あぁ、あんたらの声を聞いたらよ、急に俺の親父の顔が頭に浮かんできてな。そして声が聞こえて来たんだよ。」


アテヌによって操られた政武の行動に見かねた祐永らによる怒鳴り声から始まり、説得の言葉。

そのような言葉を聞いているうちに、自身の父である木内政豊の姿がふと頭をよぎったという。

そして続けて政武が言う。


政武

「お前は戦うべき相手を間違っている。これ以上幕府の者たちに迷惑をかけるな、たわけ者が!ってな。」


政武の頭の中で現れた政豊は険しい表情をしていた。

味方である幕府並びにセビカ国の者たちに対して刃を向けるとは何事であるか。

真に討つべき相手は他に居るである故に、早く目を覚ますのだ。


彼は政豊によるそのような叱責を受けた事で正気を取り戻す事が出来たのだという。


宗重

「政豊殿は死してもなお、我ら幕府を見守ってくれておるというのか…」


たとえ生は尽きども、我らを守らんとする精神は不滅である。

宗重は創天国の方角に向かって深々と頭を下げ、亡き政豊に対して感謝の意を表していた。


ドヴェルク

「私たちの想いが…通じたのですね…」


連合軍による必死の説得が政武に届いた事に対し、ドヴェルクは安堵の表情を浮かべている。


長継

「アテヌの術を打ち破るとは…いやはや恐れ入った。」


催眠術にかかった事で深い洗脳状態に入ったにも関わらず、自らの力でそれを解いたという政武に対して長継は感嘆の声を漏らしていた。


祐永

「政武よ、政豊殿に感謝するのじゃな。」


彼の父である木内政豊の存在が自身の窮地を救ってくれたと言っても良いであろう。

それ故に父の、政豊への感謝の気持ちをこれからも忘れるなかれ。

祐永は、政武に対してそう言っていた。


政武

「あぁ、それにしても大馬鹿者の俺が大馬鹿者の親父に怒られるとは思いもよらなかったぜ。親父、ありがとうよ…」


そう言うと政武は照れくさそうな表情を見せていた。

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