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架空戦国伝  作者: 佐村孫千(サムラ マゴセン)
第10章 異国の大決戦編
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06.敵軍の静観

セビカ・志太幕府連合軍は、敵地であるワニア島への到着を果たす。

進軍を開始して実に三日ほどの時が過ぎていた。


島に船を着けた連合軍の船から軍勢がぞろぞろと降り始める。


宗重

「長継殿の申される通り上陸した儂らを狙う兵がおるやも知れぬ故、気をつけねばなるまい…」


我ら軍勢はワニア島に到着してはいる。

しかし、ここは敵国のヘルト独立勢力の本拠地。

果たしてそうやすやすと島内への侵入を許すであろうか…

先程に長継が心配な様子をして口にした事を耳にしていた宗重はそう言いながら辺りを見回していた。


そうしてしばらくした後に宗重が首を傾げながら考え込み始め出す。


政武

「どうしたんじゃ爺さん?俺たちを見張っている奴らを見つけたのか?」


宗重

「いや、逆じゃ。それと思わしき兵どもがおらんのじゃ。うーむ…」


どうやら連合軍が上陸した場所には、ヘルト軍の兵たちが見当たらないようである。


政武

「何じゃと?それならばなおさら好機じゃねえかよ!」


島に降り立った瞬間にヘルト軍の攻撃を受ける事で開戦となるであろうか。

政武もまた長継や宗重らと同じくそう考えて身構えていた。


だが辺りには敵兵たちの姿はおらず、居るのは我ら連合軍だけであるという。

これには拍子抜けした様子ではあったが、好機と考えた政武はすぐにそう声を上げていた。

すると長継が首を傾げながら答える。


長継

「しかし、素直にそう喜んで良きものであるか…」


確かに辺りを見回しても敵軍の気配は感じられない。

ゆえに、これは無駄に敵軍との戦いを行わなくて済むという事である。

政武の言う通り、好機である事に間違いは無い。


だが、果たして本当にそうなのであろうか。

長継は疑い深い様子でそう言っていた。


ドヴェルク

「私もおかしいと思っております。奴らは一体何を考えているのだ…」


ドヴェルクもまた長継と同じく現在の状況に対して疑問を感じているようである。


敵軍の本拠地であるにも関わらず、やけに周辺の警備が浅すぎる。

ヘルト独立勢力は、我らに何か良からぬことを企んでいるのでは無かろうか。

長継とドヴェルクらは不安な表情を浮かべていた。


その様子を見た崇房が落ち着いた様子で答え始める。


崇房

「とにかく我らは足を進めるべきかと。敵兵たちがおったとしても討ち滅ぼすのみにござる。」


いずれにせよ我らは敵軍の城を目指さねばならない。

それ故に、今はひたすらに進み続けるべきであろう。

たとえ敵兵が居たとしても怯む事無く戦いながら進めば良いであろう。

崇房は、勇ましい表情をしながらそう言っていた。


祐永

「うむ、そうであるな。皆の者よ、このまま続けてヘルト城を目指そうぞ!」


崇房によるその声を聞いた祐永は軽く頷いた後に連合軍に対して進軍の命令を出していた。

こうして連合軍はヘルト城を目指して進み続けるのであった。


一方、ヘルト城では一人の男がアテヌと会話を交わしていた。

この男は、先程に連合軍がワニア島に上陸した事を伝えたアテヌの部下であった。


部下

「ア、アテヌ様…今、奴らに攻撃を仕掛けなくても良いのですか?」


部下はヘルト城に迫りくる連合軍に対して焦りの表情を見せている。


連合軍が島に上陸した事を知りながらも、今はただ静観せよとの命令をアテヌが下したからである。

間もなく大軍勢が攻めてくると言うのに何を悠長な事を言っているのであろうか。

部下はアテヌの行動が理解出来ない様子であった。


するとアテヌは静かな口調で答え始める。


アテヌ

「あぁ、それで良い。あやつらには死よりも恐ろしいことをこの後にじっくりと味わわせてやろう。ふっふっふっ…」


アテヌは不敵な笑みを浮かべていた。

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