04.国輝のいびり
数日後、国輝は義藤を自分の屋敷に招き入れた。
国輝
「兵法についてお主に学んで欲しい。それにはまず儂がまとめたこの書物を全部読んでみい。これを全部じゃ。」
そう言うと国輝は、志太家に士官した時から軍師を目指すまでの心がけを綴った書物を義藤に差し出した。
全部で数十冊はあるだろうか、これほどの書物を全て国輝が軍師になる数年間で書き記したのであるから驚きである。
国輝が士官した時に行った政策や失敗談や反省、はたまた日記といった雑記的な内容が事細やかに書き記されている。
国輝
「三日待ってやろう。三日後の同じ刻に儂の屋敷に来るがよい。話はそれからじゃ。」
義藤
「この全ての書物に目を通せば良いのですね。承知いたしました。では、すぐにでも読ませていただきたいので今日は早々に失礼いたします。」
義藤は一瞬驚いた表情を見せたがそう返事し、数十冊もあろう書物を抱えて屋敷を後にした。
国輝は、重い書物を持って体をよたつかせながら帰って行く義藤の後ろ姿を見ながら言った。
国輝
「あれだけの書物を三日で読むなんぞ到底できぬであろう。儂とあやつとは格が違うということを思い知らせてやるわ。」





