02.登用交渉
祐村は数日後、再び義藤を訪ねた。
取引交渉ではなく、義藤を家臣として取り立てる為にだ。
祐村は人の才能を見抜く力に非常に秀でており、先日出会った義藤の可能性を感じていたのである。
義藤に会うなり祐村は開口一番に言った。
祐村
「今日は取引の交渉に参ったのではない。そなたを家臣として志太家に迎え入れたいと思うのじゃ。昨日今日元服した身では政の「ま」の時も知らぬであろうがそこは儂も含めて家臣たちがしっかりと教えることを約束しよう。」
取引交渉で訪れたものだと思っていた義藤は、突然の祐村の発言に驚いた。
つい先日に初めて出会ったお得意様に家臣にならないかと言われれば誰でも驚くであろう。
ましてや義藤は最近元服したばかりの若造だ。
そんな自分をここまで買って出てくるなど思ってもいなかったからである。
そして義藤が返答する間もなく祐村はこう言った。
祐村
「なに、もう商の親方には実は話をつけておるのじゃ。親方とは先代からの長い付き合いでな。お役に立てるのなら是非とも取り立ててやってくれとのことだ。そうと決まればそなたは今日から志太家の人間じゃ。」
祐村は、こうして半ば強引に義藤を家臣として取り立てたのである。
この若者が後に天下統一の偉業を成し遂げる大名になるのは、まだ先の話であるが。





