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架空戦国伝  作者: 佐村孫千(サムラ マゴセン)
第6章 風雲志太家編
182/550

34.波乱の柳家

志太家による人質奪還計画が始動して一月ほどの時が過ぎた。

各国は依然として秋庭家への攻撃を行う気配は無かった。

志太家が事前に公布した「お触れ」によって容易に手出しが出来なかったからである。


しかし、そんな状況が続く事を良しとしない大名家がいた。

それは他ならぬ今回の騒ぎを起こさせた「黒幕」とも言える柳家であった。


柳家では秋庭家制圧の為の戦略を立て、実行していた。

やがてその戦略の筋書き通りに秋庭家が立天野城を制圧。

柳家による秋庭家の制圧は順調に進むかのように思われていた。


しかし、秋庭家が立天野城を制圧してから事態は急変。

そのわずか数日後に

「志太家が直々に秋庭家を成敗する」

「ゆえに志太家以外の者が秋庭家を攻める事を禁ず」

と言った内容のお触れが各国に向けて公布されたのである。


これには柳家もただただ従うしか無く、秋庭家制圧作戦は見事に頓挫した。


それから一月ほど経ったある日、幸盛は晴清を城に呼びつけていた。


幸盛

「我ら柳家が秋庭家を攻め滅ぼし、領地を頂くはずだったのじゃが、それも叶わぬものとなりそうじゃな。のう、晴清よ。」


幸盛は晴清を睨みつけながらそう言った。

晴清は秋庭家制圧の戦略を率先して立て、実行を促していた責任者であった。

今回の失敗は、晴清の責任にあると言わんばかりの鋭い目つきである。


晴清

「申し訳ございませぬ。まさか、祐藤めがかようなお触れを出すとは思いもよりませぬでした…」


今回の一件は想定外の出来事ゆえに、そこまでは深く考慮していなかった事が仇となったようである。

晴清は自身の犯した失態について、青ざめた表情で原因を述べていた。


すると、幸盛は間髪入れずに晴清の胸ぐらを掴んで叫んだ。


幸盛

「晴清よ!最早言い訳は無用じゃ!えぇい、使えぬ奴め!貴様は参謀の役を解任のうえ、蟄居を言い渡す!」


蟄居ちつきょ

武士または公家に対して科せられた刑罰のひとつで、閉門の上、自宅の一室に謹慎させるもの。


晴清

「ゆ、幸盛様…何とぞ、何とぞご慈悲を…」


晴清は弱々しい表情であった。


幸盛

「晴清よ、首があるだけでも有難いと思え。分ったらさっさと出て行くが良い。」


幸盛は冷ややかな態度で晴清にそう言い放った。


やがて晴清は兵たちに連れられて自身の屋敷に押し込まれた。

屋敷の周りには多数の兵が常駐して見張っており、外へ出る事は不可能である。

完全に外の世界から遮断された晴清は、最早死を意味すると言っても過言では無い。


士官して以来、柳家の勢力拡大に次々と貢献したと言われている晴清の失脚は、柳家としても大きな痛手を被った事になる。

また、幸盛はこの出来事が後々の柳家にとっても大きく影響を及ぼす事になろうとは考えてもいなかった…

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