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架空戦国伝  作者: 佐村孫千(サムラ マゴセン)
第6章 風雲志太家編
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26.敵地へ

緊急評定の翌日に祐藤は馬を用意し、家春の立天野城を目指して早々に出発した。

今回の外交は祐藤の独断によるものであり、家臣には一切の口出しをさせないという方針であった。


しかし、敵地へ大名直々に交渉に行くとなれば万が一の危険も存在すると考え、貞勝が同行する事となった。


貞勝

「しかし、殿も思い切った事をされますな。我ら家臣は肝を冷やしましたぞ。」


道中で貞勝は祐藤にそう言った。


祐藤

「儂自らが出向く事で秋庭家がどう動くか試しておるのじゃ。それに昨日の直胤が申しておった事も気になっておる故、家春殿にも直接会ってみとうなってな。」


祐藤は家春に直接会って今回の戦起こした真意を問いたいようである。


やがて二人は国境を越え、立天野の地へ足を踏み入れた。

すると、国境近くに待機していた兵にたちまち囲まれてしまった。

どうやら秋庭家が周辺地の警戒の為に配備した兵たちのようである。


「むむっ、曲者ぞ。皆の者よ、出会え!出会え!」


そう言うと兵たちは一斉に刀を抜いた。


「志太家の武将とお見受けいたす。どうやら立天野の地を取り戻しに参られたようじゃな。そう簡単には渡さぬ故、覚悟致せ。」


兵たちは祐藤らに対して敵意を剥き出しにしている様子である。

すぐにでも襲いかからんばかりの一触即発の事態に、貞勝は慌てた表情を見せていた。


貞勝

「と、殿...これだけの兵に囲まれては...最早どうにも出来ませぬぞ...」


貞勝は死を覚悟した様子で祐藤に言った。


祐藤

「たわけが、うろたえるでない。見ておるがよい。」


祐藤はそう言うとすかさず馬から降り、腰に付けていた刀を地面に置いて両腕を大きく挙げていた。

敵意が無い事を精一杯の態度で兵たちに知らせようとしている様子である。


祐藤

「拙者、志太家 大名 志太祐藤にござる。此度は立天野城の秋庭家春殿にお会いしたく参った次第。どうかご案内いただきたく存じます。」


祐藤は兵たちに頭を下げてそう言った。

その様子を見た貞勝も祐藤に同じくした後に腰を深く落とし、深々と頭を下げた。


貞勝

「申し遅れました。拙者は志太家 家老 吉江貞勝にございます。此度は戦で訪れたのではございませぬ。家春殿と我らとの会見を開いて頂きたく存じます。」


大名と家老の二人が深々と頭を下げて懇願する様子に兵たちは驚きの表情を見せた。

やがて、祐藤たちが敵意を抱いていない事を感じ取った兵たちは静かに刀を収めた。


一人の兵が祐藤たちに向けて言った。


「それでは我らがご案内致します故、付いて来て下され。」


祐藤と貞勝は、秋庭家の兵たちと共に立天野城を目指して進み出した。

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