13.志半ばにして
いよいよ長馬が家臣たちに号令をかけ、桐丘島に出兵する日が近づいて来た。
しかし、号令をかける直前に長馬は原因不明の病に伏せり、そのままこの世を去ってしまう。
あまりにも急な長馬の訃報に家臣一同は動揺の色を隠せなかった。
そして翌日には、後継者として長馬の嫡男である村上長継が当主となった。
・村上長継
長馬の嫡男として生まれる。
父の死後、家督を相続。
幼少期から家臣たちより次期当主として教育の施しを受けるが、全てにおいての才能が父である長馬と比べると乏しかったという。
しかし長継は非常に人格者であったとされ、家臣の信頼は誰よりも厚く父の長馬を上回るほどであったとされる。
長継
「本日をもって拙者が村上家の当主となる。皆一同、拙者の為に力を合わせて村上家をもりたてていただきたい。」
家臣たちは長馬の突然の死を嘆き悲しんでいたが、同時に長継という立派な後継者が当主となった事を大変喜んでいた。
今まで以上に村上家に忠誠を誓う者など、とにかく家臣一同の団結力がより強固なものになったとも言える。
こうした騒動があった為に大月家への出兵は先送りとなり、事実上計画は白紙に戻ってしまったのである。
また長馬は生前に「余の死は本土進出までは隠せ」との命を家臣たちに下していた為、周辺大名家は長馬が亡くなったという事実は知らないでいる。
父である長馬ほどの実力が無いことは長継も自覚しており、今後の村上家としての戦略について頭を悩まされることになるであろう。





