02.志栄城の改修
村上城改め志栄城の城主と副城主に任命された崇数・崇冬親子は、早速城の改修作業に取り掛かった。
工員たちは貞道に仕える山賊衆や、村上家に仕えていた兵たちで構成されていた。
崇数
「お前たちには、この志栄城の改修を行ってもらう。お互いに協力の心を忘れる事無きように取り掛かるのじゃぞ。」
兵たちはそれぞれの持場に着き、作業を開始。
こうして志栄城の改修作業が始まる事となった。
それから1週間ほどの時が経とうとしていた。
崇数と崇冬は、ある程度の進捗を期待している様子であった。
しかし作業の進捗は想定よりも非常に遅く、改修の完了までの見通しも依然として立たない状況であった。
崇数
「駄目じゃ。こりゃ捗るどころか全く改修が進まぬ。どうしたものか...」
崇数は困り果てた表情でそう言った。
崇冬
「工員たちはいずれも貞道殿の率いる山賊衆と我々が攻略に手を焼いた村上家の兵たち。かような猛者たちを集めているというのにも関わらず余りにも捗りが遅過ぎますな。」
崇冬も今回の改修作業については頭を悩ませている様子であった。
改修には充分過ぎるほどの人材を集めても依然として効果が見られない。
二人は必死にその理由を考えていた。
しばらくして、崇冬が何かに閃いた表情をして崇数に言った。
崇冬
「父上、拙者に考えがあります故、少しばかり任せてはいただけませぬか。」
崇冬の考えた案とは、次のようなものであった。
・兵たちを納得させる
志栄城の改修にあたった工員の中でも村上家に仕えていた兵の士気が今ひとつ上がらない状態であった。
現在は志太家に仕える身とはなったが、誇りを持って村上家に仕えていたという意識が未だに根強く持っている者が多く、それが邪魔をして改修業務に力が入りづらくなっているのではないかと崇冬は推測。
そこで志太家として新たに迎えた兵たちへの支援を行い、士気の向上を試みる。
崇数
「ほう、崇冬がそう言うのなら任せてみようではないか。では、頼んだぞ。」
崇数は自信に満ちた表情で熱心に語りかける崇冬を見つめて言った。





