63.村上城攻め(3)
崇数と貞道は村上城の城壁付近に到着した。
貞道
「さて崇数殿よ、良き案とはどのようなものじゃ。」
貞道の問に対して崇数は次のような作戦を述べた。
①山賊衆を使う
貞道配下の山賊集は先の細野城・米村山城にて城の改修作業に携わっており、城についての知識はそれなりに知り尽くしたと思われる為、城壁の突破は容易であると思われる。
②城普請の道具を使う
城の改修時に使用していた道具を用いて城壁の突破を試みる。
志太家においては信常の発明で、梯子や足場などの道具が非常に小さく折り畳めるなど軽量化に成功しており、これら道具の持ち運びが容易なものとなっていた。
③村上城外の放火
崇数・貞道らが布陣している城壁と反対側の場所に火を放ち、村上軍の注意をそらしている間に城壁の突破作業を行う。
貞道
「なるほど、ここは我が山賊衆の力の見せ所であるな。」
貞道は崇数の作戦に納得していた。
崇数
「あとは地獄式鉄砲が使えれば良いのじゃが、残念ながらどうも今回は使うことが難しいようじゃ。」
地獄式鉄砲は、その破壊力に比例して膨大な量の火薬が必要とされている。
今回の村上城攻めにおいて火薬の調達が間に合わなかった為である。
貞道
「ほほう、確かにあれだけの破壊力のある鉄砲じゃてそう気軽に使えぬということか。」
貞道は残念そうな表情を浮かべていた。
崇数
「地獄式鉄砲が無くとも我ら二人が力を合わせれば村上城など簡単に潜入して見せようぞ。」
貞道
「そうじゃな、我らの力を村上軍の奴らにも見せつけてやろうではないか。」
二人は意気揚々とした様子であった。





