62.村上城攻め(2)
志太軍は、祐藤の号令によって村上城を包囲。
村上城攻めが開始した。
祐藤
「儂と義道は城門の破壊に当たる。崇数殿と貞道殿は城壁の突破を頼んだ。」
崇冬
「では祐藤様、拙者は如何すればよろしいのですか。」
今回の初陣を飾る崇冬の名前が挙げられなかった為、崇冬は恐る恐る祐藤に問いかけた。
祐藤
「そなたは此度の戦が初陣であろう。前線で戦うには時期尚早ゆえに儂らの兵の守備を頼む。決して油断するではないぞ。」
先日に元服したばかりの崇冬を前線に配置して戦うことは危険と感じた祐藤の配慮であった。
戦の経験こそ無い崇冬ではあったが、父である崇数によって兵法など様々な教育を徹底して施されていた。
しかしそれも所詮は机上の空論であり、実戦となると想定外のことも十分に起こりうるのだ。
崇冬
「承知致しました。拙者、祐藤様のご期待に沿えるよう戦って参ります。」
崇冬は活き活きとした表情で答えていた。
その頃、崇数と貞道らの陣では両名共に攻撃開始を今か今かと待ち構えていた。
崇数
「では我らもそろそろ参ろう。貞道殿よ、拙者に付いて参れ。」
貞道
「しかし、城壁の突破とはこれ如何に。我らで上手くやれましょうか。」
貞道は不安そうな表情で崇数に問いかけた。
村上城の城壁は、他の一般的な城と比べて数倍以上の高さを誇っており、外からの侵入を容易に許さない構造である。
貞道は、そのような非常に高い城壁を一体どうやって突破をするのかという疑問が湧いていた。
崇数
「何、心配はいらぬ。拙者に良き考えがある故、安心されよ。」
崇数はあっさりとした口調で答えた。





