架空戦国伝

第５章 祐藤の野望編

43.戦は近し

新たに志太家家臣となった貞道は細野城に配属された。

それに伴い義道は、配属されていた黒子城から新たに細野城城主として任命されたのである。

祐藤

「義道、お前を細野城主として任命する。早速じゃが間もなく我が軍は米村山城を攻める。戦の準備を進めてまいれ。」

義道

「ここのところ、政ばかりで飽き飽きしておったのじゃ。久々の戦じゃ、腕が鳴るわい。」

義道は活き活きした表情で言った。

祐藤

「じゃが、米村山城は儂の居城の志天城よりも険しい山の上に建っておる。苦戦を強いられることは目に見えておる故、心してかかるのじゃぞ。」

祐藤は心配した様子であった。

米村山城は、村上島で最も高いとされる米村山に築城されている。

さらに城下までの道のりがほとんど整備されておらず、険しい山道であったという。

義道

「なに、貞道殿の兵たちにかかればこんなもの朝飯前じゃろう。」

貞道

「ここは我ら山賊衆の出番にございますな。我らの力をご覧にいれましょうぞ。」

貞道は自信満々な表情で祐藤に言った。

貞道

「久々の山での戦いじゃ。皆の者よ、思う存分に力を発揮して村上軍に目にものを見せてやるのじゃ。」

貞道がそう叫ぶと配下の山賊衆たちの目つきはみるみるうちに闘争心に燃えたものとなり、周囲は熱気で溢れていた。

祐藤

「流石は山賊衆の頭じゃな。そなたらを見てると米村山城も簡単に攻略できそうな気がしてきたわい。」

祐藤の先ほどまでの不安はどこかに吹き飛んだ様子であった。