36.細野の戦い(9)
志太軍と村上軍両軍入り乱れての戦いが細野城において始まった。
村上軍は先程の鼓舞により兵たちの士気は上昇し、志太軍は苦戦を強いられることとなった。
しかし、兵力の差は志太軍16,000人と村上軍は10,000人と大きく差が開いており、志太軍が優勢であることに変わりは無い 。
元兵衛
「忠益殿らは細野城を守られよ。拙者は城から出て志太軍を迎え撃つ。」
そう元兵衛が言うと、兵たちが一斉に細野城から出てきた。
士気の上昇している村上軍が志太軍に対して行う攻撃は猛烈なものであったと言われている。
祐藤
「流石は何代も続いた村上家じゃな。城主の号令一つでここまで兵を立て直すとは敵ながら天晴である。」
村上家の強固な団結力を目の当たりにした祐藤は感心していた。
奮闘もあり初めの方こそ志太軍を圧倒させていた村上軍ではあったが、大きく開いた兵力差を前に次第に追い詰められていった。
志太軍は着実に細野城に侵入していき、残すは忠益の構える天守のみとなった。
忠益
「最早これまでか。元兵衛殿よ、そなたは米村山城へ戻って来るべき志太軍との戦いに備えられよ。村上家の意地を見せつけてやるのじゃ。」
忠益は覚悟を決めた表情で天守に火を放ち、自害して果てた。
祐藤
「皆の者、細野城は我が軍がたった今攻め落とした。我らの勝ちであるぞ。勝鬨をあげよ。」
細野城では志太軍による勝鬨の声が響き渡っていた。
一方、元兵衛は落城の寸前に退却を始めており、志太軍からの攻撃を振り切って命からがら米村山城へ帰還していた。
元兵衛
「忠益殿、実に立派な最期でござった。この元兵衛、村上家の名に恥じぬよう奮闘いたす故、ご安心されよ。」
元兵衛は涙を浮かべながら言った。





