08
神殿に向かって歩き出す。
平地で道もあるから、目標は見落とさないですむ。
猫とのどかな散歩…ってわけにはいかない。
なんといってもここは異世界…
もしかしたら、お約束の剣と魔法のファンタジー世界かもしれない…
だとしたら、ここはフイールド…
魔物とかが現れるのかもしれない…
用心して進む…
さっきみた僕のHPは10…
一撃でお陀仏なんてこともありえる…
それに、ぼくはひのきの棒も鍋のふたももっていない…
とりあえず、神殿までは自分で自分と猫を守らないといけない…
そういえば、こいつらって…
どうなんだろう???
僕でHP10なんだから、身体の大きさからHP1なんてことはないだろうな。
ぼくはさっきのクロの真似をして、宙に四角を書く…
ぼくを追い越して前を歩く、トラの上にウィンドウが開く。
これが、コマンドなのか…
史人はステータスウィンドウを覚えたってところか…
トラ JOB猫武神LV1
HP12548/MP5685
猫武道達人 LV155
猫魔法黒 LV97
こいつもレベル1…
だけど、何…このでたらめなレベル1は、まるっきりバグ…
それに、無防備に前を走っていく…
まて、だから…この世界をもっと分かってから…
こらっ…
そこに鷹のような大きな鳥が舞い降りる…
そう、トラを狙ったんだ…
そう、この世界の鷹は大きすぎる…
子猫くらい簡単に掴んで持って行ってしまいそう…
ぼくはトラのところに走る…
「大丈夫だよ…」
クロが落ち着きながら言う…
「トラは武術の達人…達猫だよ」
まあ、確かにトラはバカだけど他の猫より、高く飛び、速く走る…
トラは舞い降りる鷹を避けて転がる…
うまい…
鷹のような鳥は点の攻撃をする…
それさえ避けてしまえば…
でも、あの大きさ…
子猫どころか…人間でもさらえそうな大きさだ…
空を旋回する鳥…
ぼくたちの隙を狙っている…
僕に子猫たちを守れるのか…
なんとかするしかない…
そこらへんの木を拾って振り回す…
トラは鳥を見上げている…
姿勢を低くして…
飛び上がる…
えっ???
猛スピードで空に舞い上がるトラ…
10メートルはあるのに…
そのまま、鳥に体当たりする…
不意をつかれた鳥はバランスを崩す…
その背後にトラが飛びかかる…
鳥とトラは組み合ったまま、地上に落ちた…