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猫にひかれて異世界生活  作者: PYON48
第一部 猫に引かれて異世界へ

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 すこし歩いてから、中でも大きい建物にはいる。


 なぜかわからないけど、こっちの文字も読める。

 文字は日本語じゃないんだけど、意味が頭の中に浮かび上がる。

 入口の看板には『取引所』と書いてある。


 そういえば、言葉も不思議な感じだ。

 日本語と違うのはわかるんだけど、なぜかわかるし、話せる。

 異世界転生のお約束みたいなものだろうか?

 確かに言葉がわからないといくらチートでも、英雄になんてなれない。

 でも、これは猫たちの物語だ。

 猫たちにとって都合のいいことはいくら起きても不思議じゃない。

 

 シャールと取引所に入っていく。

 

「シャール様、街道の災厄でも退治しましたか?

 災厄級の素材なら高く買取りましょう」

 シャールにいかにも商人って男が、手をこすりながら近寄ってくる。


「いや、今日はこちらの神官さまの付き添いだ。

 商人のチュールはいるか」


「素材でしたら私どもで…」

 胡散臭い商人が食い下がる。


「おまえは信用ならん。神官様の大事な取引はチュールにしか任せられない」


「チュールならあっちですよ」

 残念そうに商人が指差す。


 シャールに連れられて、奥に入っていく。


 むしろの上に並べられる、いろいろなもの。

 野菜、肉、魚、毛皮、鉱物…

 取引所の中は市場の喧騒だ。

 

 その中でも、賑わっている一角にシャールは向かう。


「チュール。あいかわらず忙しそうだな」


「あっ、シャール様」

 商人たちに囲まれた金髪の少年がこっちを見る。

 商人らしく人懐っこい笑顔だ。

 でも、目は笑っていない気がする。

「こちらの方は見かけない顔ですが…」

「神官さまだ。素材を見てもらいたいとのことだ。

 見てもらえるか?」

「神官様って、ニャニャー様の…ですか?」

「そのとおりだ。しかし今は詳しいことは話せないんだ。

 口の堅いお前なら任せられると思ってな」

「ええ、儲けになるなら、死んでも秘密は守ります。

 商売の神様、ニャニャー様のためなら、特にね」


 そういえば、神殿にあった招き猫。

 商売の神様に見えないこともない。それにミーニャ教は自由な宗教と聞いている。

 商人には、その教えがしっくりくるのだろう。


「神官さま。わたしはチュールと申します。

 ここ、バーミリオンの一介の商人です」

 大仰に帽子を取って礼をする。

「ぼくはアヤト。神官っていうとすこし違うんだけど…

 この国に来て間もないので、いろいろ教えて欲しいんだ」

「ぼくはクロにゃ」

 クロも挨拶する。でも、クロでさえ人間姿では語尾にニャと付く。

 なにかのお約束か。

 それに、子供らしく舌足らずな喋り方となる。


「わたしでよろしければ、お力になりましょう。

 シャール様のご紹介でもありますし、なんでもご相談ください」


「アヤト、とりあえずお金が必要だから素材を売ろう」

 クロが僕にテレパシーで話してくる。


 ぼくはクロの言うとおりに、チュールに伝える。

「とりあえず、素材を見て欲しいんだ」


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