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猫にひかれて異世界生活  作者: PYON48
第一部 猫に引かれて異世界へ
4/939

04

 猫ブームって言っても、猫の飼い主なんて簡単にはみつかるもんじゃない。

 みんな興味を示してくれるけど、現実問題、住むところや生活の関係でうまくいかない。


 もう、子猫を拾ってから、1ヶ月が経過していた。

 猫好きだから世話は苦にならないけど、経済的な問題、家を留守にできないこと、いろいろな問題が生じてくる。

 それにこのまま飼い続けるのは、子猫たちにとってもいいことじゃない。

 2部屋のアパートじゃ十分な運動もとれない。

 だからといって車があぶなくて都会では外飼いにもできない。

 

「笛吹くん、猫の飼い主見つかったよ。

 2匹もらってくれるってさ。

 写真みせたら、一目惚れだって」

 同期の岡河さんが僕のところに駆けてくる。

 職場のアイドル的存在。ずっと里親を探してくれてたんだ。

 こういうやさしいところも、好感度が高いところだ。

 

「史人くん、わたしも1匹もらおうかな」

 目の前のめがね美人は森園先輩。

 クールな上司だ。仕事はきびしいけど、面倒見のいい人だ。

 たぶん、ぼくらが里親を探しているのを聞いて、助け舟を出してくれたんだろう。

「まあ、もう1匹飼ってるから、一匹くらい増えても同じだからね」

 スマホの待ち受けを見せる。そこにはかわいいアメショーが写っている。

 

「わたしも飼おうかな。

 かわいいし。

 でも、猫って初めてだし。

 笛吹くん、いろいろ相談に乗ってくれる?」

 岡河さんが僕を見つめる。


 僕はその真っ直ぐな視線を逸らせてしまう。

 すごい、チャンスなのに。


「ねっ、いいでしょ」


「う…うん」


 僕のスマホがなる。

 メールだ。

 猫をもらってくれるらしい。

 これで、あと一匹だ。

 それくらいなら、僕も飼えないこともない。


 でも、これであいつらも幸せになれる。


 僕も岡河さんとの距離が縮まるかもしれないし。

 これで良かったのかな?


「じゃあ、どの子がいい?」

 

「うーんとシロがいいかな」


「うん、じゃあ残りはクロだけだね。

 クロは僕が飼うから」


「じゃあ、一緒にグッズとか買いにいこうよ」

 岡河さんの笑顔に、つぎの休みの日の約束…これは猫の恩返しってやつかもしれないな。

 ぼくはなぜかそう考えて岡河さんにOKの返事をした。



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