03
玄関にダンボールを置く。
猫は小学生のときに飼っていた。
子猫の時からずっといっしょだった白黒のぶち猫タマ。
すごく僕に懐いてくれた。頭のいい猫だった。
でも、車にひかれて亡くなってしまった。
それから、もうペットは飼わないって決めてた。
猫はそんなに生きられない。いつか来る別れ。
それが耐えられないと思った。
だからといって、こいつらを見捨てていいってことじゃない。
どうしようかな?とりあえず、お腹が減ってるだろうし。
冷蔵庫から牛乳を取り出し、深皿に注ぐ。
それから、水も。
これでよし。猫たちを呼ぼう。
その匂いにつられてか、茶色いのがダンボールから溢れ出して歩いてくる。
こいつは好奇心旺盛だな。
茶トラだからトラ♂(仮)だな。
次々と脱出してくる猫。
黒いのは、そこらへんを見回しながら歩いてくる。
頭がよさそうだな。
おまえはクロ♂(仮)だ。
次にキジトラ。
クロの後を追うようにして歩く。
こいつはキジ♀(仮)。
あと、茶白のブチのやつ。
床に寝て体を擦り付ける。
背中がかゆいのか、マーキングなのか?
こいつはブチ♂。
あと白と三毛猫がゆうゆうと歩いてくる。
こいつらはミケ♀(仮)とシロ♀(仮)。
みんなミルクのまわりに集まって、小さい舌でピチャピチャ飲み始める。
こんなかわいいのを捨てるなんて、どうかしてる。
生後半年くらいか。乳離れしてから捨てたんだな。
まあ、これくらいならドライフーズも食べられるだろうし。
そんなに世話はいらない。
子猫だから、貰い手もいるだろう。
明日、まわりに言ってみよう。
それから、ネットにも子猫譲りますなんてページがあったような。
まだ、ドラックストアが開いてる時間だから、餌とトイレ砂だけでも買ってこよう。