そして……
「あ、れ?」
「目が覚めた?」
「は? 俺、寝てた?」
「えっ、……うん」
「──そっか。夢か。俺、何か、ひとりでしゃべってた?」
「うん、今、おぼえとくよ、って」
「それだけ?」
「う、うん」
サヤカのふしぎそうな顔を見て、マサキはもうひとつ、そっか、とつぶやいた。
そうして、手を持ちあげ、その頬にそっと触れる。
やわらかい、とおもった。
さっきの何者かとまるで同調でもしたかのように、胸に、じわっと熱い喜びがわく。
「マサキ……くん?」
「あのさぁ」
「……ハイ」
「とりあえず、抱きしめても、いいか?」
「は……はイ?」
「いいよな。あ────ははっ」
「なっ、なに、わらって?」
やわらかい頬を、マサキはやんわりとつまんだ。
「真っ赤な顔……それな、かわいいとおもうよ」
「からかってるの?」
「ほんとだって。だから、つき合うことにしたんだ。でも──俺より、もっといい相手がいるらしいよ? 今のうちに、考え直してみる?」
問えば、一拍おいて、サヤカの両腕がこちらに向かって開かれた。
「あなたが、好き、です」
マサキは、やさしく両腕をつかんだ。
「あのさ……いつか、俺たちが結婚して、子どもが生まれたとしたらさ」
言いながら、サヤカの腕を引き寄せる。
胸に倒れてきたサヤカが、エッ、と素っ頓狂な声を上げた。
「俺、すっげー、母親のことがだいすきな男の子、だって気がするよ」
「…………男の子って、大体そうじゃない?」
「──そう言われたら、まあそうかも」
さら、とサヤカの長い髪を撫でながら、マサキは公園の道を行く、他のカップルに目をやった。
あのカノジョの上にも、カノジョをあいしてやまない白いつばさを持った何者かがいるのかもしれないな、とおもいながら。




