カレの言い分 2
好きです、と言ったときの顔は、そこまで?と感動するほどに真っ赤で、けっこうかわいかったのだ。
でも、あれ以来、とくにかわいいとおもうこともない。
さっぱり会話がつづかないから、なにをすれば喜ぶのかもさっぱりわからない。
わからないから、喜んだ顔も見られなくて。
つまり、かわいい顔をしてくれない、という。
それでよく、三カ月もつき合っていると、マサキはわれながら感心してしまう。
(この子とも、やっぱつづかねーのかな。俺のせいか? くそ。……まあ、どっちのせいでもいいか。たんに、失敗だっただけ)
次につき合うなら、どんな子がいいだろうか。
ベースを弾くのさえ忘れるほどに、いっしょにいたいとおもわせる、美少女系?
それとも、好きに夢を追っていいのヨ、と言ってくれる、年上系?
マサキは、自分の長髪を掻き回した。
なんだか、いっそ、カノジョなんていなくてもいい気もする。
他のメンバーにいるから、自分だけいないのは格好がつかない、なんて理由しかないのだから。
ギタリストのカノジョに、マサキクンって実はホモなのー、とか嫌味を言われたのに腹が立ったんだったような気もする。
どっちみち、やむにやまれぬ事情、なんてものもない。
ベースに熱中していれば、ふしぎなほどに『たまらない』のだ。
自分でも、俺っておかしいのか、とおもうくらいに。
べつに、女の子のカラダに興味がない、とかではない。
見下ろせば、胸のところに、おとことはちがうふくらみがあることは、嫌でも意識する。
寒いのに、膝の上までまる見えのスカートすがたは、女の子だなー、とかおもうのだ、嫌でも。
と、サヤカの視線がこちらを向いた。
目が合ったとたん、おどろいた顔をされる。
(せめてそこで、うれしい顔くらいしろよ。このやろっ)
「あのさあ。あっちに公園、あるじゃん?」
「え、……う、うん」
「今月の一八日、そこの野外ステージでライブやるんだ」
「そっ、そうなの?」
「そ。っても、二曲だけだけどな」
「でも、すごいね?」
「いや。もっとすげーのは、駅の向こうのスタジアムで、ライブやれるバンドだから」
「そうなの──」
「………………」
(ほんっと、興味ねーのな)
マサキとしては、見たいナ、とかぜったい見に行くネ、とかいうことばを期待したのだが。
おもしろいほどに、会話がおもう方へと流れてくれない。
(一八日までには別れちまってる予感でもある、とか……?)
そうかもしれねーな、とマサキは内心で独り言ちた。




