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盗賊少女に転生した俺の使命は勇者と魔王に×××なの!  作者: halsan
エンジョイ デーモンズライフ編
145/186

団体さまお取り扱い開始

 ジョー・J・スカイキャッスル8世は混乱していた。

 彼は早いうちに妃を亡くし、子宝にも恵まれていない。そのため各貴族から妃候補のあっせんがひっきりなしに持ち込まれる。が、彼は女性を愛することが苦手だった。だからと言って男色家という訳でもない。要は性行為が面倒なのだ。だから王は後宮も設けていない。なのに今、王は本人が望みもしない極上で最悪な快楽にとらわれている。

 ここは王の寝所。そして彼の両隣りには全裸の竜戦乙女と、全裸の男性。この2人が王のそれぞれの耳元で囁き、王の感覚を左右から蹂躙し、王の精を様々な手段で絞り取る。

 果てた王に女と男は囁く。

「王よ、大陸を制する王よ、王は地位を楽しむべきです」

「王よ、世界を制する王よ、王は快楽を享受すべきです」

 王は呻くだけ。

 その後再び王は極上で最悪な快感に意識を塗りつぶされた。

 

 ここは商人ギルド。ギルドマスターのマリアと工房ギルドマスターのフリントが楽しそうにエリスの説明を聞いている。

「どうかしらマリアさま、フリントさま」 

 エリスの問いかけに2人とも前向きな回答をした。

「各店舗への参加申し込み受け付けから模擬店の準備、各都市への宣伝等を考えると、準備期間は10日程度かしら」

「収穫祭の備品があるからの。会場設営は2日もあれば十分じゃろ」

 2人の答えに満足したエリスは次とばかりに席を立つ。

「それでは、開催決定ということでお願いします。私はバルティスさまとテセウスさまにも説明してまいりますね」 

 その後、エリスは盗賊ギルド、冒険者ギルドにも説明に回る。

 その間、他の4人は手分けして百合の庭園(リリーズガーデン)自由の遊歩道フリーダムプロムナード男性街ジェントルメンストリートの店舗を回り、各料理人たちにサンプル肉の感想を聞いて回った。すると総じて料理人たちは「他の部位も見たい」との要望をあげてきた。

 お昼に一旦集合した5人は料理人たちの要望を叶えるために翌日にツアー馬車を仕立てることを決定。クレアが工房ギルドに馬車を借りに行こうとする、と、大地竜らーちんがクレアを呼びとめた。

「クレアよ、俺が運んでやるから、馬車の車輪を取って、俺の背中に固定できるようにするがいい」

「どういう風の吹きまわし? らーちん」

 この申し出に一番驚いたのがエリス。普段は何もしようとしない大地竜が一体なぜ?

 するとらーちんが他の誰にも聞かれないようにエリスの意識に念話で呼びかけた。

「すーちゃんとふぇーりんがむかつくんだよ」

 つい吹き出してしまうエリス。 

 そう、らーちんはらーちんなりに大空を舞い大活躍の飛竜どもに嫉妬していたのだ。ならば俺は大量輸送で活躍してやろうということらしい。

 そのムカつきを酌んだエリスはクレアたちにらーちんの思いを隠した上で説明した。

「私がらーちんに頼んだの。らーちんなら、乗員さえ固定できれば20人は乗ることができるから」 

 ということで、この日の午後は、エリスとクレアは工房ギルドに大地竜用の団体席をこしらえに向かった。

 フラウとキャティは西の漁村に肉の保存状態と、使用するための大まかな量を改めて確認しに行く。

 レーヴェとすーちゃんは工房ギルドが大至急用意したチラシを持ち、各都市の商人ギルドを巡った。

 

「おう、これは壮観じゃな!」

 大地竜に据え付けられた席台を目の当たりにし、フリントは素直に感嘆した。

座席や取付冶具などは工房ギルド馬車部門の在庫を流用し、風除けの木板で席を覆う。大地竜がどれほどの速度で進むのか不明なため、とりあえず天板は付けない。いわゆるオープントップ。さらに団体席以外に大地竜の頭部近くに豪奢な椅子1席用意された。これは御者となるエリス専用の席。 

「らーちん、背中は痛くない?」

「大丈夫だエリスちん。蚊ほどの重みも感じぬよ。試しにちょっと乗ってみるか?」

「定員いっぱいにしてもいい?」

「ああ、試験走行としゃれこもう」 

 エリスはクレアとフリントたち工房ギルドのメンバーを試乗に誘う。当然のように嬉々として乗り込むフリントと幹部メンバーたち。しかし、クレアと若手メンバー数人は搭乗してこなかった。

「いいのクレア?」

「えへへ、ちょっとね」 

 あの顔は何かを企んでいる顔だなとエリスは気づく。が、クレアのやることに間違いはない。なのでそのまま何も聞かないことにした。

「それじゃらーちん、お願い」 

 エリスの掛け声を合図に大地竜は歩み出した。工房ギルドから街の中心へ颯爽さっそうと走る大地竜。当然その巨大で派手な姿に市民たちは歓声を上げる。そして街の歓声に何事かと建物から顔を出したマリア、バルティス、テセウスらギルドマスターたちを誘って途中で拾い、そのままエリスと大地竜は西の漁村に向かった。

 大地竜は魔導馬の限界速度を20人を乗せた状態でもやすやすと実現した。しかも大地を滑るように走るため、乗り心地も最高。席上ではフリントたちが感嘆の声を上げる。

 こうして1刻後、エリスたちはフラウ、キャティと西の漁村で合流した。

 村では既に竜の存在に慣れ切ったお花畑の猫獣人たちがフラウたちと冷凍庫に保管した鯨獣肉の検分を行っている。そしてセルキスたち海豹アザラシ獣人たちもその場にいた。

 良い機会なので、エリスはセルキスたちをワーランのギルドマスターたちに紹介した。ちなみに海豹獣人の村はどこの支配下にも入っていないとのこと。

 と、そこでセルキスがエリスたちに思いつめたように切りだした。

「なあ、エリスお嬢さま。わしらの村は先日の悪魔の襲撃で、死人こそ出なかったが、住まいなどはめちゃくちゃになってしまった。それでな、勝手な申し出だとはわかっとるが、ここに移住させてもらうことはできないだろうか?」

 セルキスの言葉を受けて、エリスはマリアの方を振り向く。と、心得たとばかりにマリアがセルキスに話しかける。

「私はワーラン評議会議長のマリアと申します。詳しいお話は私が伺いましょう」

 海豹獣人たちは魚介類や海獣の肉、海藻類を主食とした、自給自足の生活を送っていたのだが、今回の悪魔の襲撃で住まいや漁具などに壊滅的なダメージを受けてしまった。そのため食料を得るなど、生活を続けるのが非常に難しいことになっている。現在は先日分けてもらった鯨獣の肉でしのげるが、今後の展望がない。そうした上での彼らからの申し入れだった。

 何かを考えているマリアに、エリスが囁いた。

「彼らにはこの村を拠点として漁業を続けながら、漁村観光施設で働いてもらうことはできないかしら」

「そうね、エリス。私も同じことを考えていました。ただ、ギャティス村長たちの了解は必要ですよ」

 そう付け加えながらマリアはフリントたち評議員、そしてギャティスたち猫獣人に声をかけ、今はきれいに立て直されたギャティス村長の家で海豹獣人の移住問題について打ち合わせを始めた。結果、海豹獣人約200名の受け入れを決定。工房ギルドは第三次計画の観光施設建設とともに仮設住宅を速やかに建設する。それまではギャティスたちの住居に分宿するとした。

「マルスフィールド工房ギルドの連中をまだまだこき使うことになるの」

 大忙しの状況に慣れ切ったフリントが豪快に笑い、それを合図にその席はお開きとなった。

「それでは帰りましょうか」

 元々大地竜の走行試験で漁村を訪れていたエリスたちは、長居は無用とばかりに大地竜の背に乗り込む。と、東の空から黒い影が近づいてきた。その姿は見る見るうちに巨大になっていく。

 そいつは、巨大な樽のようなものを両脚に抱えた混沌竜ぴーたんだった。

 混沌竜はゆっくりとエリスたちの前に横倒しにした樽のようなものを置く。すると中から工房ギルドの若手が数名、得意げな顔をしながら降りてきた。続いて混沌竜からクレアが飛び降りる。

「エリス、ぴーたん用の旅客台も作ったんだよ!」 

 樽のようなものは中に長椅子が設置されていた。そして風が巻き込まないように工夫されたカバーに覆われた小窓がいくつかついている。

「ぴーたんはこの旅客台そのものに結界を張ることができるんだ」

 クレアが自慢げにエリスたちに胸を張った。横で同じように胸を張る工房ギルドの若手たち。

 実はクレアと、自称「クレア・カーペンターズ」を名乗る若手たちは混沌竜から相談を受け、専用の旅客台を親方に内緒でこそこそと作っていた。そこに大地竜の席台の話が出てきたので、急遽仕上げたのだ。

「これで家族の送り迎えも完璧さ」

 こうしてエリスたちは団体さま用の陸上移動手段と、数名用の空中移動手段を手に入れた。

 暴風竜・定員2名 レーヴェ+竜戦乙女1名

 鳳凰竜・定員3名 フラウ+一般人2名

 混沌竜・定員6名 クレア+一般人5名 専用の旅客台を使用

 大地竜・定員21名 エリス+一般人20名 陸送


「で、あーにゃんはどうするの?」

 エリスの問いかけにぽかんとするキャティと氷雪竜あーにゃん

「別にどうもしないにゃ」

「わいら、何かせんといかんのか?」

 お花畑コンビにちょっとでも期待したエリスは首を横に振りながらため息をつき、お花畑たちの言葉は聞かなかったことにして号令をかける。

「さあ、ワーランに帰りましょう」

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