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ご一行さま到着です

 翌日の朝、朝食を楽しんでいるエリスたちのところに、評議会からの連絡が入った。マルスフィールド公が王都スカイキャッスルからの使者を伴って、昼前には到着するとのこと。用件はまず間違いなく5柱の竜について。ついては、竜とともに評議会の応接に足を運んでもらいたいという指示だった。

「さて、どのような服装で行こうかしら」

「どの道すーちゃんたちの姿を見せてほしいというのだろうから、搭乗しやすいようにパンツのほうがいいだろうな」

 というレーヴェの提案に従い、5人は収穫祭の時にあつらえたブラウンのジャケットと白のパンツにブーツで揃える。

 一方、竜たちは、いたずらの意味も込めて男性型とすることにした。

 大地竜ランドドラゴンのらーちんは重戦士装備。名前は「エリソン」

 暴風竜ストームドラゴンのすーちゃんは軽戦士装備。名前は「レーヴァテイン」

 氷雪竜アイスドラゴンのあーにゃんは猫戦士装備。名前は「キャティス」

 鳳凰竜フェニックスドラゴンのふぇーりんは魔道士装備。名前は「ブラウズ」

 混沌竜ピカレスクドラゴンのぴーたんは盗賊装備。名前は「クレスト」

 ちなみにふぇーりんとぴーたんは、なんちゃってのコスプレ装備。でも、こうしてみると立派な冒険者ご一行に見える。ちなみに全員どハンサム。

 なんやかんや楽しみながら準備を終えたエリスたちは、徒歩で評議会まで向かった。当然10人は街の人々の注目を集めることになる。


「こうして見ると、貫禄がありますわね」

 マリアが竜たちのコスプレを見て、改めて感心する。と、マリアの言葉をきっかけに、いつものようにどつき漫才を始めてしまう5柱の竜。

「まあ俺が最高だけどな」

「ぼくに決まってるじゃないの! どこに目をつけてんだこのクソボケ大地竜!」

「わいが至高に決まっとるでえ! われの目は節穴じゃいこのアホたれ暴風竜が!」

「あたしの美しさがわからないなんて! さすがはオツムも凍って血の巡りが悪い氷雪竜ね!」

「すいませんマリアさん、こんなオマヌケ竜ばかりで恥ずかしいです」

「お前が一番オマヌケだろうが元メタルイーターの混沌竜さんよ!」

 あーうっとうしい。

「フラウ、お願い」

「わかったわエリス」

 ごいーん、ごいーん、ごいーん、ごいーん、ごいーん。

 フラウのダークミスリル製ハルバードのハンマーの部分で仲良くどつかれ、同じようなポーズで頭を抱えて座り込む5柱。

 あいた口がふさがらないマリア。

……。

 深呼吸を一回した後、マリアはエリスたちに、マルスフィールド公が到着するまで、しばらく別室で待っているように指示をし、エリスたちはおとなしくそれに従った。

 しばらく後、評議会がにわかに騒がしくなった。マルスフィールド公一行の到着である。今回はかなりの人数でこちらに向かっているとの情報はマリアたちも入手していたが、規模は情報以上のものであった。その人数は護衛も含め約100名。どうも竜戦乙女の調査にかこつけてワーランで遊んでこようとした公の魂胆が見抜かれたらしく、彼の部下やマルスフィールドの重鎮たちもワーランに遊びに来たらしい。マリアは慌てて他のギルドマスターや、住民代表の評議員たちを呼びにやる。

「よくこそいらっしゃいました、マルスフィールド公さま、そして王都からの使者の皆さま。私は貿易都市ワーラン評議会議長のマリアと申します」

「ご丁寧な挨拶痛み入ります。私は王都より派遣されましたチャーフィーと申します。本日は故あって妻と娘も同行いたしております」

 丁寧な挨拶を交わした後、マリアは公たちを来賓室へと案内した。その他の重鎮は正式な使者ではないので、別室で他のギルドマスター達が相手をする。

 来賓室に通された公ら4名が着席すると同時にマリアは口を開く。

「本日は竜と竜戦乙女の調査でございますね。準備はしてございます」

「さすがはマリア殿、話が早い。それでは早速だがワーランの宝石箱ジュエルボックスオブワーランの面々をチャーフィー卿らに紹介をお願いする」

 マリアは一旦笑みとともに席を立ち、別室へと出て行った。そして無言で5人を部屋に連れてくる。そこに現れたのは金髪の重戦士、碧髪の軽戦士、赤髪の魔術師、黒髪の盗賊、白髪の猫戦士。

 マリアは無言のまま。マルスフィールド公はきょとんとした後、笑いをこらえ始める。と、ここでチャーフィー卿が席から立ち上がり、5人に丁寧な挨拶を行った。

「これはこれはお初にお目にかかります。私は王都貴族の末席におりますチャーフィー。後ろに控えますは妻のビゾンと娘のメベットでございます。しかしお恥ずかしながら、王都にはワーランの宝石箱ジュエルボックスオブワーランは女性だと伝わっておりましたが、これほどのご健壮な方々でしたとは。いやはや、噂というのは当てにならないものですな」

 後ろではビゾンとメベットが怪訝そうな表情で碧髪の軽戦士を見つめている。それに気づいた碧髪が娘にウインクを返すと、娘は頬を赤らめ俯いてしまった。

 「マリア殿、これはお人が悪い」と、吹き出しながらマルスフィールド公がマリアに説明を求める。それに合わせいたずらっ子のような表情を浮かべて手を叩くマリア。

 すると、続けてお揃いのジャケットとパンツ姿の少女5名が部屋に入ってきた。呆気にとられるチャーフィーら3人。

 マリアが言葉を続ける。

「チャーフィー卿、こちらがワーランの宝石箱ジュエルボックスオブワーランの5名です。そしてビゾンさま、メベットさま、ご親族がこちらにおりますよね」

 マリアの言葉を合図にレーヴェが口を開いた。

「お初にお目にかかります、チャーフィー卿。そしてご無沙汰しておりました。ビゾン姉さま」

 その挨拶に口をパクパクさせるチャーフィー卿。一方、我を取り戻したビゾンがレーヴェたちに挨拶を返す。

「久方ぶりですレーヴェ。そしてお初にお目にかかります、宝石箱の皆さま。いつも妹がお世話になっております」

「それではそちらの男性方は?」と、チャーフィー卿が努めて冷静に尋ねると、マルスフィールド公が立ち上がり、改めて男たちの前に頭を垂れた。

「守護竜の方々とお見受けする。本日はご足労を賜り、感謝の念を禁じえません」

 再び呆気にとられる使者3名。男たちは腕組みをしながら公の挨拶を当たり前のように受けている。

「そろそろからかうのもやめてやれ、エリスちん」

 金髪の重戦士が金髪の小さな娘に対して言葉を投げかけると、それを受けた娘が3人に語りかけた。

「お初にお目にかかります、使者の皆さま。こちらにあらせられますのは5柱の竜さまたちでございます。こちらがその雄姿です」

 エリスの挨拶が終わると同時に、装備の中に一旦姿を消す5人。そしてその後に5柱の竜がミニサイズで現れ、それぞれの乙女に張り付いた。

 いそいそとそれぞれの装備をかばんに片付ける乙女たち。金髪の少女は蜥蜴竜を小脇に抱え、碧髪の少女は胸に翼竜を張り付け、赤髪の少女は肩に鳥竜を止まらせ、黒髪の少女は頭に邪竜を乗せ、白髮の少女は首に蛇竜を巻いて。

 使者3名は、あっけにとられながらそれを見つめ続けるしかなかった。

 

 落ち着きを取り戻したマルスフィールド公は、エリスたちに竜の紹介と、なぜこれだけの竜がワーランに集まったのかの説明を求めた。これには予め用意してあった嘘のシナリオでエリスたちは答える。魔王が動き出したことにより、竜たちも己の身を守るために契約者を求めた。それは魔王に束縛されないため。そして大地竜ランドドラゴンが金髪の少女と竜戦乙女ドラゴニックワルキュリアの契約をしたことが他の竜にも伝わり、集まってきたと。そして宝石箱5人が有資格者であったのは全くの偶然であったと。

 そこにマルスフィールド公が質問を重ねた。

「それでは改めて『有資格者』の条件を伺いたい。お願いできるか」

 この質問も想定済み。これについては、エリスたちは本当のことを説明することにしていた。というのは、そうした方が「成り手」が現れないと判断したから。

 公の質問に大地竜が皆を代表して答える。

「先日は茶を楽しんでいる最中であったので失礼した。改めて俺が条件を説明してやる」

 竜戦乙女となる条件は、乙女であることと同時に強い精神力を求められる。それは竜を恐れない心、竜とともに歩もうとする意思、そして純潔を守りぬく決意。

「お前ら、そんな条件をみたす乙女が、人間世界にホイホイ存在するかと思うか?」

 大地竜に逆に質問をされた公たちは考えこむ。確かにそうだ。普通なら誰もが竜を恐れ、怯える。そしてそれを乗り越えたとしても待つのは一生を竜に捧げる人生。これはありえない。

 すると小さなメベットがレーヴェのところに駆け寄った。

「レーヴェおばさま、初めまして。メベットと申します。よろしければ守護竜さまをご紹介いただけますか?」

 その愛くるしい表情に思わず頬を緩めるレーヴェ。

「ああ、初めましてメベット。ここにいるのが私との契約竜である、暴風竜ストームドラゴン殿だ」

 レーヴェの紹介に合わせて暴風竜が羽の中から顔を出し、メベットの前で鼻を鳴らした。そしてすぐに顔を引っ込めてしまう。するとメベットは両親の方を振り向いた。

「お父さま、お母さま、私に資質があるかどうか、試していただきたいのですがいかがでしょうか?」

 すぐに返事はできない両親。なぜなら、彼らにとってメベットは可愛い一人娘。とてもじゃないが一生ドラゴンとの生活というのは本人にとっても、跡継ぎ的にも良いことではない。が、その背中をマルスフィールド公が押した。

「エリスよ、試してもらうことは可能か?」

 これもエリスたちは想定済み。で、どの竜が試験を行うかも決定済み。ここはエリスに代わってクレアが答えた。

「ボクの契約竜が資質を見てくれるそうだから、広場に行こう」

 こうして一行はぞろぞろと広場に出ていった。


 メベットには勝算があった。自分はあの素敵なおばさまの姪であること。それに実際に見た竜たちはラブリーでキュートでプリティでチャーミングでファンシーだった。必ず自分は竜を受け入れられると。

「それじゃ、メベットちゃん、そこに立ってくれるかな」

 クレアの指示に従い、広場の中央に立つメベット。その表情には笑みすら窺える。

「それじゃ、ぴーたんお願い」

クレアの指示に従い、可愛らしくパタパタと舞っていくぴーたん。そしてリセットボディ。


 突如現れた禍々しい巨大な邪竜の姿に、メベットが恐怖により気を失ってしまったのは言うまでもない。お漏らしのおまけ付きで。

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