神さま思いつきました
ここはある天上世界。
白く染まったその場所では、二柱の存在が、互いの間にぽっかりと空いた空洞を見下ろしている。
「よし! 今回は儂の勝ちじゃ!」
ガッツポーズをとりながら勝利宣言をしたのは『戦士の神』
「あーあ、彼を代理人に選んだときから、実はダメなんじゃないかと思っていたのですよ」
肩を落としながら負け惜しみをほざいているのは『魔道の神』
そんな二柱の様子を背後からあきれた表情で眺めているのは『盗賊の神』
「お前ら、人間世界で遊ぶの、いい加減にしたら?」
盗賊の神が戦士の神と魔道の神をたしなめるも、二柱は聞く耳持たず。
「弱肉強食を忘れた人間社会は腐っていく一方じゃからな」
と、戦士の神。
「外界からの定期的な刺激が、結局は人間界の繁栄につながるのですよ」
と、魔道の神。
そんな二柱の、建前ばかりは立派ではあるも、実は人間を駒に遊びたいだけの勝手な言い草に、盗賊の神は辟易しながらため息をつくしかない。
「それじゃあ、俺の信者はいつまでたっても日陰者じゃねえか」
が、二柱は盗賊の神にはお構いなし。
「よし、次はこの世界を舞台に勝負じゃ」
「次は負けませぬぞ!」
「またやるのかよ」
二柱が見せるやる気満々の様子に、盗賊の神はあきれ果ててしまう。
結局こいつら二柱の代理人どもは、舞台となる世界で暴れるだけ暴れて、世界を荒らすだけ荒らして、結局は俺や他の神達の信者を巻き込むんだよな……。
まいったなあ。
「お、いいこと思いついた」
盗賊の神は、戦士の神と魔道の神が勝負する世界に、自身の代理人も内緒で送り込むことにした。
二柱の思い通りにさせないために。
奴らの場を荒らしてやるために。