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30分小説

あこがれ

作者: 雨月 嶽

もしもあの時……

あの時先輩に出会っていなかったら、私は今どうしていただろうか……


春、桜舞う中。

やさしかった先輩、右も左も分からない中で声を掛けてくれた先輩。

今、先輩と同じ立場に立っています。

先輩と、同じようにやさしく出来ていますか?

先輩と同じように、笑えていますか?

とくに部活に入っていないから、なんとなく入った生徒会……

丁寧に、仕事を教えてくれた。

間違っても、責めることなく笑ってくれた先輩。

あの笑顔はもう、見ることはないのですか?


夏、暑い日ざしがじりじりと肌を焼く中。

仕事にもだいぶなれてきて、真新しい制服が少しだけよれてきた。

クーラーの効いた生徒会室で、みんなと馬鹿話をしながら書類を片付けたる。

先輩に連れられてプールに行ったり、海に行ったり、先輩は泳ぎが下手で少し深いところに行くと、半泣きで抱きついてきましたね。

肝試しもしました。

先輩はお化け役で、みんなを怖がらせておなかを抱えて笑っていたことが印象的でした。

もちろんたつ休み最後の週はまだ終わっていない宿題をヒイヒイいいながらやりましたね。

あのときの先輩の、声はもう聞くことが出来ませんか?


秋、紅葉が目立ち始めた季節。

文化祭の運営で大変だった。

このころになると、学校生活もだいぶ慣れてきて、先輩に隠れてサボることが多くなりました。

そのたんびに先輩は、校舎のどこにいようと見つけ出し叱ってくれました。

文化祭といえば、一度不良が来たときがありましたね。

そのとき先輩は堂々と胸を張って、不良たちを追い出してくれました。

そのときの先輩は格好よくて、印象的でした。

もう、先輩の怒声を聞く事はないんですね。


先輩、離れ離れになっても先輩はいつまでも先輩です、短い間でしたけどありがとうございました。

お元気で。

あなたの後輩より」

「先輩はいつまでも先輩です……か」

僕は彼女からもらった手紙をポケットにしまうと、冬の寒空を見上げ

「こっちこそ、ありがとう」

涙交じりの白い息を吐いた。


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