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反乱
この、「上げパン反対運動」は、やがて学校中に広まった。もはやズボン胸高法違反ギリギリである、胸下4㎝が基本だった。
生徒たちの運動は暴動にまで発展した。周りのほとんどの人間は白い目で見たが、生徒たちの団結力は凄まじかった。
「上げパン反対!」
「戦争の時代は終わった!」
生徒たちはバットなど思い思いの武器を振りかざし、命を省みず叫び続ける。
とうとう国会議事堂まで100mという位置までたどり着いた。
そのときだった。生徒たちの前に何台もの戦車が現れた。軍隊だ。戦車の影から迷彩のズボンを胸の辺りまで上げた兵士たちが次々と姿を見せる。
「いますぐ暴動をやめてズボンを上げろ!何をバカなことをやっている!これは国家に対する反逆行為だぞ!」
軍隊は生徒たちの前方数十mの位置に立ちふさがり、銃口を向け、完全に行く手を遮っている。
(ここまでか…)
和寿を始め、全員が諦めかけたとき、一人の男が、睨み合う軍隊と生徒たちの間に割って入った…。