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謎の老人
たまたまそのとき、人通りはほとんどなく、二人以外に老人の下げパンを目撃した者はいなかった。二人は老人を尾行し、数分もたたないうちに老人の自宅に着いたので話を聞いてみることにした。家はボロボロで、室内まで蜘蛛の巣だらけだったが、かつて高級であっただろう家具や置物で溢れていた。和寿は早速質問した。
「おじいさん…それ、どうしたの?」
「はて…?それとはなんじゃ?」
「それだよそれ!その…」
和寿は小声で続ける。
「その下げパン、どうしたの?軍隊に見つかったら殺されるよ。」
「あぁ…これかい。いいんじゃよ。わしみたいな人間。死んだほうがいいんじゃ…。」
「どういうこと?」
老人はため息をつき、ゆっくりと話し始めた。
「君たちは若いから知らないじゃろうが、実は五十年前までは、上げパンなんてものは存在しなかった…。まぁ下げパンも存在してないがの。そして、この世界をこんな風にしてしまった張本人こそが、わしというわけじゃ…」
「ってことは…。」
二人の頭にある予感が浮かぶ。
「ズボン胸高法を作ったのは…わしなんじゃ。」