表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

そして人はいなくなっちゃいました[その5]

聖魔光闇先生がお始めになったリレー小説の第五話目を書かせていただきましたv

続きを書いていただける先生は、先に聖魔光闇先生にご連絡をお願いします。

1話 http://ncode.syosetu.com/n3089r/

2話 http://ncode.syosetu.com/n3101r/

3話 http://ncode.syosetu.com/n3133r/

4話 http://ncode.syosetu.com/n3372r/

5話 これ↓

そして人はいなくなっちゃいました[その5]


 大阪府を抜けた所で人間の居る世界へと戻ってこれたが、ようやく生きている人間と会えた事で、更に状況は悪化しているという事に嫌でも気付かされた。知らなければまだ幸せで居られたものを、人の温もりを求めた事で知らなくても良い事まで知る結果になってしまった。

 どうやら人が消える現象が進んでいるのは大阪府だけに留まらず、関西の大部分、果ては既に関東へと侵食しているらしい。大阪府が最初のようだが、一つ開いたら二つ、二つ開いたら四つというように急激に被害は広まっている模様であった。日本全土に開いたもぐら叩きの穴の如く、県を跨ぎ順不同で人間達が消えていっている。

 報道機関もパニックを起こしており、被害状況を取材するために全国へとヘリコプターで向かった報道陣達が次々に行方不明になる状況が続いていた。

 駅前の街頭テレビには、テレビ局自体混乱している様子が映されていた。最近話題になっている美人女子アナウンサーの裏側では、しきりに電話をかけたり書類を抱えながら右往左往するテレビ局員達が映し出されている。

『ご覧ください、愛知県もまた住民の影が全く……ぐっぇ――っ』

 彼の隣に立ち尽くしている若い女性は、口元を覆って街頭テレビから顔を背けた。報道アナウンサーの発した最後の言葉は普通の呻きではなかったからだ。少なくともテレビを見ていた人間達には、そう聞こえていた。

『ど、どうしたんですか。現場の鈴木さん。返事をしてください!』

 番組の隅に特別枠を作って小さな画面で報道が続けられていたが、現場の鈴木と呼ばれたアナウンサーの呻き声を最後に映像が乱れ、砂嵐へと変わった。

 女子アナウンサーが必死の形相で鈴木の名前を呼ぶも、返事は無かった。どうやらヘリコプターの位置も途絶えて消息不明となったようであった。

「信じられない。どうなっているんだ」

 彼は無意識の内に独り言を漏らしていた。

『皆様、たった今入った情報によりますと愛知県、鳥取県、岡山県、奈良県。そして関東では既に埼玉県、群馬県、神奈川県の各県にて大阪府と同様の被害が発生している模様です。今後も被害は拡大していくと予想されます。そして、消えた人々がどうなるのかは全くの未知です。我々も予想が出来ません。逃れる術はあ――』

 そこで街頭テレビの映像は乱れた。カメラが転がり、消え行く最期の映像だけを人々の瞼に強烈に焼き付けて。気付いた時には、テレビの映像は灰色の砂嵐のみであった。

 次に聞こえてきたのは、泣き出す子供の声と、それに合わせてパニック症状を起こした人々の叫びだった。

 まるでこの世の終わりだと、暴力的なまでの言葉を、気がおかしくなったかのように周りの人々に投げ掛ける。その場に居た人間達は、数分後には元の静けさなど微塵も無かったかのように騒ぎ出していた。

「やめろ」

 彼は耳を塞ぎ、呟く。幼い子供が母親の背中に負ぶさっている。周りの人々の狂気の声に感化され、激しく泣き出した。

「やめろ……」

 世界が回る。鼓膜を潰す勢いで掌を耳に押し付ける。目を瞑ると、余計に人の声が良く届いた。自分が何処に居るのか分からなくなる不安定さ、薄っぺらい掌など突き抜けてくる罵詈雑言、彼も喉の奥から意識せずとも熱い物が飛び出た。

「やめろって言ってるだろ。黙れ!」

 彼の言葉はその場に居た誰よりも大きく、強く。そして空気を破壊した。唾を吐き飛ばしながら、嫌な汗を掻いている腕を振り回して力の限りに人々に向かって言い散らした。

「喚いたって誰も助けちゃくれない。お前ら、テレビを見ただろ。誰かが何かをしてくれると思うな。自分で何とかするしかないんだよ。逃げるも消えるも」

 本当は、一番弱い自分に向けた言葉だったかもしれない。何かが起きても、誰かが何とかしてくれる。そう思っていた。いつだって彼はそうだった。仕事を始めてからもそうだった。トラブルが起きても、自分は第三者の立場。面倒くさい事はいつも責任者がやってくれる。

 だが、それでは何の解決も出来ないと思い知らされる時がやってきてしまった。これからどうするのか、それは自分の決断に掛かっている。

「お前らがこれからどうするかなんて、僕にはどうでもいい。けど、僕は行ける所まで行く。この原因を突き止めてやる。逃げられる所まで逃げてやる」

 今居る場所でさえ、いつ人々の消える現象に襲われるか分からない。だがじっとしていても何の解決にもならないのは事実だった。



 事態は更に悪化していた。だがこの時の彼らは知る由も無かった。既に被害は日本だけではない事を――。まるでウィルスのパンデミックの如く、広がりを見せている現実を。

これはリレー小説です。

続きが気になる方は、好きに作っちゃってください!

続きがどうなるのか、読みたいので、聖魔光闇までご一報ください。(ここだけ、毎回あとがきに入れてください)


誰の物語を引き継いだのかを明記して、物語を繋いでいきながら、完結したら、すごいな。と思います。(どんな話になるのかと、ドキドキします)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] おお~全国に広がりましたね(*^_^*) 予想外の展開で面白かったです♪
2011/03/05 10:46 退会済み
管理
[一言] 執筆お疲れ様でした。 なんだか一度にスゴい事になってますね。 多くの主要都市の壊滅的ダメージ。そして、あの最後の言葉。 自分だけなら絶対に(自信をもって言える(自慢になりませんが))発…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ