プロローグ〜成金風の男子とお祖母様方との闘い
新作です。書かせていただきます。よろしければお読みになってみてくださいませ。次、書きます。
成金風の男子、金成俸禄〈ほうろく〉は、今、何故戦っているのか、自分でもわからなかった。
お祖母様方は、俸禄の左右に散開していた。六人のお祖母様が、扇形の陣形を作り、彼を半分包囲してしまおうというのだ。
──これは、戦争だ。お祖母様相手だからといって、手加減していてはならない。俸禄は、自分自身に言い聞かせた。
油断すること、それほ即、死に繋がるであろう。何しろ、お祖母様方は、集団になると、様々な方策、作戦を駆使してくるという。
お祖母様方は、扇型の円弧の部分の幅を狭めてきているようだと、俸禄は察知した。
このまま間隔を詰められれば、俸禄独りで、六人同時に攻められることになるのではないか。
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俸禄は、舌打ちしながら後退を繰り返した。
じりじりと後退させられている。彼にとっては屈辱的なことであった。後退は許さない!どちらかというと そう 教わってきた。後退は、敗戦けを意味すると。
「お小遣いを欲しいかい、坊や?」
お祖母様の中の一人が笑いながらそう問うてきた。
問われて彼は、首をぶるぶると横に振った。
それは、罠だ。そうに決まっている。
いくら 成金だからと言って、簡単に金に目が眩むわけではない。
──お祖母様は、僕を騙そうとしたのだ。許せない!ならば、反撃してあげる!
俸禄は激しく思った。
音読みになっていただきまして誠にありがとうございました。