第5話 最終話 三者三様で幸せ
とにかく皆様ハッピーエンドです!リール侯爵令嬢怖いよ~!!
翌日からヴィンスとお兄様と私で会う事が多くなった。
この3人の集まりについて他の生徒は『キラキラ会議』と命名しているそうだ。
理由はヴィンスのは金髪で私とお兄様は銀髪。3人寄ると、日の光でキラキラするそうだ。そうだろうけど……。ハズカシイ。
会議という割には、課題を3人でしたりと何かを目論んでいるわけじゃないんですけど。
ヴィンスの護衛さんが言うには、「宰相閣下の御息女がこちらを睨んでいらっしゃいました」だそうだ。当初の目論見は達成したようなものだ。
これで、ヴィンスが私を慕ってくれるといいんだけどな。
「ミューはさぁ、どんな夜会でもエスコート役はエルだろう?」
キタ――――――――!!
「そうですね。お兄様が適任でしたから。婚約者もいませんし」
サミュール・プチ情報も言いました。『婚約者はいないよ』
「でも、同じ顔で入場って微妙ですよねぇ?」
私はヴィンスを見た。上目遣いで見た!
「ハハハっ、二人はそっくりだからなぁ」
「私、もっと背が高い殿方にエスコートされてみたいわ」
ちょっとぷくっと頬を膨らましてみた。
「どうせ、俺の身長はミューとたいして変わらねーよ。俺はもっと凹凸のある美女をエスコートしてみたいよ」
「おいおい、喧嘩するなよ。ミューは俺がエスコートしてやるか。エルはどうすっかなぁ。地味に叔母上とか?俺、女性はあんまり知り合いいないからさぁ。あ、叔母上って言っても俺らよりちょっと年上なだけだからな。確か、5才くらい?独身だ」
「サンキュー!ヴィンス。いやぁ、長年の悩みが吹き飛んだ」
「悩んでたのー??」
まぁこんな調子で過ごしてた。……リール侯爵令嬢に睨まれながら。
*****
そして最終学年最後の日、卒業式の後のちょっとしたパーティーがあった。ヴィンスは約束したように私をエスコートしてくれると前々から宣言してくれて、ちゃんと家にそれ用のドレスなどが届けられた。
お兄様は……王族であられるヴィンスの叔母上のマーサ様と正式に婚約を果たしていた。妹離れもしてくれて万々歳。なんでもヴィンスに紹介されて、一目で恋に落ちたらしい(本人曰く)。それから、何度かデートを重ねて、正式に婚約という運びになった。
ヴィンスには「お前は叔父上ってことになるのか?」と言われてたなぁ。そうなのかなぁ?マーサ様はうちに降嫁されて今後は侯爵夫人になる予定。そういうわけで、お兄様は張り切って、マーサ様にドレスなどを送っていた。あまりにもお兄様の色で独占欲丸出しなので、私がちょっとだけストップをかけたりと結構な騒ぎになっていた。
あ、お父様は早々と宰相の座に収まり手腕を発揮していた。どんなに書類が多くとも定時に帰る(お母様に会いたい)ために、全力で仕事を終わらせていた。元・宰相殿は宰相補佐に降格となった。リール侯爵家としては面白くないと思う。というか、面白くないだろう。
約束通り、私はヴィンスにエスコートされて入場した。爵位の低い人から入場するので、入場がラストとなった。ラストから2番目がお兄様とマーサ様。
陛下もいらっしゃるので、陛下にご挨拶。
「初めまして。サミュール=ハイスカイと申します。父がお世話になっています」
「おお、お主が『ミュ―』か!お主の事はそこのヴィンスからよく聞いているぞ!それにしても兄妹よく似ているな。お主はお主で美しい」
「ち…陛下!」
どこまで陛下に話しているんだろう?
「ミューとエルの父親も宰相として非常に優秀だ」
「「あり難きお言葉」」
うーん、微妙だなあぁ。仕事を早く終わらせたい原動力がお母様に一刻も早く会う事だからなぁ。
「初めまして。サミュエル=ハイスカイと申します。この度はマーサ様との婚約を了承していただきまことにありがとうございました!」
「ああそうそう、アレの嫁ぎ先についても色々考えていたところだったんで、丁度よかったよ。お主なら妹を任せられる!」
「お褒めに頂き光栄です」
マジで叔母だったのか?年上ってちょっとだし、私の姉でも普通って年齢のお方。そんなお方が陛下の妹だったの⁇マーサ様は頬を染めて恥じらってるみたいだけど、それより年齢が陛下と離れまくっていることにビックリです。
さて、ここでリール侯爵令嬢をエスコートしている方ですが……令嬢の家族でしょうか?似てる……。
そして、そのお顔からは「キーっ、なんでなのよ!」ってのが読み取れる。貴族の淑女ならばそんな簡単に感情を外に出してはいけませんよ。恥ずかしい。
ヴィンスには学園時代にどうこうということはなかったけど、「卒業しても、全く会えなくなるのは嫌だから、少しは会いに来てくれよ」と言われた。
うーん。それは……とりあえず文通からのお付き合いという事でしょうか?予めアポイントがないと登城なんかできないし。
そう思ってたのに、エルが惚気るから(しかもヴィンスの叔母上だし)、触発されたのかなぁ?ヴィンスと私も婚約することになった。
私は王宮住まいで厳しい王太子妃教育を受けております。
たまーに、お父様を見ますけど、相変わらず定時に風のように自宅の方へお帰りになりますね。
私達家族はそのまま変わらずに生活をしていて、幸せです。あ、私はもう家を出た身分ですね。私は私で幸せですよ。王太子妃教育が厳しくても、王宮の食事は美味しいし。こういうのアメとムチというのでしょうか?
お兄様の所には子供が出来たとか。……お兄様、手が速いです。お腹がおっきいから双子だろうという見解らしい。私とお兄様もそうだったんでしょうか?
まぁ、誰の恨みも買わずにのん気にのびのびと育って欲しいです。
私は……もうすぐ婚姻式となります。忙しいです。だというのに、暇なのでしょうか?王宮の外に出ようものなら、ジーっとリール侯爵令嬢が睨んできます。
そんな暇があるのなら、自分の幸せを探した方がいいと思います。彼女は私を睨んで生涯を終える気でしょうか?
なので、婚姻式の後のパレードでの警備について非常にナーバスになっています。騎士団の方々が。
国民へのお披露目となるものですが、命を狙われているというのはどうかと騎士団の方々も頭を悩ませています。
追伸:予想通りにヴェルフェイズ王国は滅亡しました。あの国王に王太子、尚且つお父様のような優秀な人材の流出がダメージとなったのだろうと思います。
私の稚拙な文章を読了ありがとうございます‼
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誤字報告も。絶対にあるんですよねー。本人は見落としてるんですよ。