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第2話 父、強し。

私も予想外の展開です。

ホムでの私達家族の立場は平民だとばかり思っていました。


「父を舐めるでない!そこらの貴族とはワケが違う!」


 そうでしたね。このような外交ルートを用意してあるあたり全くワケが違いますね。


「我が家はこのホムにおいては侯爵家となる。私は今は宰相補佐として皇帝に尽くすが、いずれ宰相になるつもりだ」


 あぁ、なりそう。亡命してきたとはいえ、予め外交ルートを用意しておく手腕などを買われて、いずれは宰相となりそうだ。

 

「お前たちものん気に家に居るんじゃないぞ!皇帝陛下の御子様も通っているという名門の学校に通ってもらう。もう、入れ替わりとかで遊ぶんじゃないぞぉ!ガハハっ」


 また、学校に通うのか……なんか憂鬱だけど、仕方ないか。ホムの文化とかも学びたいし、人脈とかも作った方がいいよね?腐ってもハイスカイ侯爵家だし。




 翌週には制服も用意され、私とサミュエルは転校生として名門ディスカブソン学園へと通う事となった。

 

「このたび、転校してきたサミュール=ハイスカイと申します。よろしくお願い申します」

 面倒だが、カーテシーで挨拶をした。まったくもって貴族は面倒だ。


「同じく転校してきたサミュエル=ハイスカイだ。よろしく頼む。えーと、サミュールは双子の妹だ」

 それ重要なの?


 あー、お兄様。せっかくイケメンなのに、シスコンだから(重度の)。牽制したんだろうか?


 教室では「見目麗しい方が二人も同じ教室にいらして、嬉しいわ~」等の声が聞こえた。

 見目麗しいというか、同じ顔……。


 「えーっと、お二人の区別は…」と、困っている人(女生徒がいると)お兄様は、「髪型が違う事かなぁ?家でも使用人が区別がつかないって言うんだよねー」と、キラキラと言っている。


 恐らくですけど、その方お兄様にメロメロになるでしょう。見目麗しい殿方に直接間近で話をされたらドッキドキでしょう。私は慣れた。同じ顔ですし鏡みたいなものです。


 お兄様のシスコンは酷いとナルシスト疑惑へと変化します。いい加減妹離れをしてもらいたいです。

 

幸か不幸か私とお兄様は身長まで同じなのよね。

 私は女性としてギリギリの高身長。お兄様は殿方としては低い方になるのかしら?私は身長が結構コンプレックスだったりするんですけど、一部の女生徒には好評ですね。突然「お姉様って呼んでいいですか?」とか言われる始末。お断りをしますけど!なんか怖いから。



 そんな感じで転校一日目は終わった。

 なんか知らないけど、精神的に疲れた。

 

「名門ディスカブソン学園はどうだった?二人とも、気になる相手とか見つからなかったのか?」


「父上……初日で見つかるわけがないでしょう……」

 お兄様、なかなか辛辣。


「私も同意見ですわ」

 

「二人とも仲が良いなー。ガハハっ」

 なんか疲れた。


「お父様こそ、仕事はどうでした?」


「ん?あの程度なら数年で私の方が宰相になるだろうな。って感じだ。ホム帝国の皇帝はいいお方だったぞ!」

 さすがはお父様。周りの人間の力量をはかるのも上に立つものの義務みたいなものですよね。で、補佐として働いてるけど、現宰相閣下よりも自分の方が力量があると。


「ところで、現宰相の家名とかわかります?学園に令息または令嬢が通っている場合もあるので」


「そうだな。えーと、リール侯爵だったかな?」

 ……お父様、そこはきちんと覚えておくべきところですよ。


「あ――、あの俺らの区別方法を考えてた令嬢が確かリール侯爵令嬢!」

 そうなのか…貴族は面倒だなぁ。


「そういえば忘れがちですけど、慰謝料ってどうなってるんですか?」


「心配するでない。愛娘よ!きちんと金貨で請求してるからな。向こうの国の紙幣でくれても、国が潰れては貨幣価値が全く無くなるからな!抜かりはないぞ!!安心したまえ!ガハハッ!」

 向こうの国は潰れることが前提なのか…いや潰れるだろうけど。




 転校二日目。

「ごきげんよう。ハイスカイ侯爵令息・令嬢」 

「「ごきげんよう」」

 やはり、同じクラスの人間は挨拶をするものなのか。


 さきほどまでは廊下を歩いていると、遠巻きで観られ「マジでそっくりだな」「髪型以外全部一緒じゃないのか?」(失礼な!これでも出るとこは出ているつもりなのよ!!)等の言葉が廊下の端に寄った生徒たちから、囁かれていた。聞こえてたんだけど、まるっきり。

 生徒たちも何故か廊下の端に寄っちゃってたから、私とお兄様が廊下の真ん中をドーンと歩いてた。(恥ずかしかった)


 私とお兄様は教室に到着し、まずは「リール侯爵令嬢はどこだろう?」と、そこらへんの令嬢と思しき方にお兄様が訊ねた。「父の仕事の関係上挨拶をと思ってね」と、言っておいた。変に噂になるのは嫌だからという理由で。「あちらで読書をされている方ですわ」「「ありがとう」」と、私とお兄様はリール侯爵令嬢の元へといった。



「初めましてかな?」

「私は完全に初めましてよ」

彼女は驚いているようだった。別に二人でカツアゲしに近寄った訳じゃないのに……。

「父が仕事でお世話になるようでその挨拶に参りました」


「あぁ、そう言えば!父が先日から補佐が入ると言っていました。お二人のお父様でしたか。大変有能なようで」


「いえいえ、所詮は‘補佐’ですから。それでご挨拶に参りました」


「わざわざありがとうございます。父にも伝えておきますね。正直、お二人のお父様がいらしてから仕事が楽になったのか家に帰ってくる頻度が上がったので、家の者は皆喜んでいます」


「それを聞いて嬉しく思います。あんな父でも役に立つのですね」


「お兄様!あんな父なんて言うものではないですよ!」


「ああ、つい」


「ふふふっ、お二人は仲がよろしいのですね」


「まあ、生まれる前から一緒ですからね」

 と、私は美しい思い出としてフォローした。



「ほら~~、授業を始めるぞ~~!!」



「あら、また今度ゆっくりお話をしましょう?」

――――社交辞令だけど。


ラブラブ両親炸裂ですねぇ。このまま弟妹が生まれるんじゃないかと……

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― 新着の感想 ―
ホム帝国に亡命したスカイハイ家、他国だから平民と思いきや、外交ルートを構築した功績で、侯爵家。しかも、父上は、いきなり宰相補佐の地位。この父上はやっぱり可成りの切れ者だよね笑笑。双子は名門ディスカブソ…
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