表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハジマリノヒ  作者: うぐいす
セカイのハジマリ、世界の終わり
79/183

ゼノカリオン2

 翌日、日没を待ってから予定通り作戦は決行された。

今回ゲイズハウンドに与えられた任務は敵基地への潜入および破壊工作。

事前情報によると今は基地内の主力が出払っており、襲撃には絶好のタイミングという訳だ。

ゲイズハウンドはいくつかの小隊に分かれて潜入を開始した。


「こちらアルファリーダー、各隊状況を報告せよ」


 通信機からロウディカの抑え気味の声が聞こえると、それに呼応して各小隊から通信が入る。


「こちらブラボー、潜入に成功した」

「こちらチャーリー、潜入成功。他異常なし」


 隊員達が順次報告を終えていく……何事も無い様に思えたその時、それは起きた。


「こちらデルタ……異常は……バカな!見つかった!?」


 その通信でゲイズハウンド達に緊張が走る。

デルタチームを皮切りに他の小隊も続々と接敵し、一気に慌しさと緊張感が押し寄せて来た。


「罠か……アルファリーダーより各隊へ、急ぎ撤退を開始しろ」


 奇襲こそ受けはしたが、ロウディカはいたって冷静だった。

それよりも今問題なのは敵の手際が良すぎる事……どうやらこちらが掴んだ情報そのものが偽物だったのだろう。

今回の作戦は入手した情報が正しいという前提で組んである。

その前提が崩れてしまったなら任務の続行は不可能だと即断し、ロウディカは早急に撤退の指示を部隊に出した。


「聞いていたな?これより楽しい撤退戦だ、とっとと尻尾を巻いて帰ろう」


 こんな時だからこそ敢えて言ったのか、普段は堅物なロウディカの珍しい軽口に隊員達の張りつめていた空気が少し和らいだ。


「ハハ、了解です。隊長もお気をつけて!」


 この様な局面は今までも何度も皆で乗り越えてきた。

その自負があるからこそ、今の想定外の状況にあってもゲイズハウンドに気負いは無かった。


・・・


 一体今まで何処に隠れていたのか……ゲイズハウンドの潜入した基地は今、そこかしこから現れた敵兵達で溢れ返っている。

敵は防刃素材の服の上にプロテクターを装着、暗視ゴーグルで完全武装していて、武器は短剣、長剣、槍に斧や槌等様々だ。

対してゲイズハウンドは潜入用の黒い軽装のボディスーツと、破壊工作用の爆弾等々……あまり大規模戦闘を想定したものでは無いし、人数にも大きく差がある。

今回の作戦ではゲイズハウンドは五人の小隊が六つで合計三十人、敵はロウディカ達アルファ小隊の周囲だけでも100人は居る。

奇襲を受け、尚且つ人数的にも圧倒的に不利な状況でも、ロウディカはあまり心配をしてなかった。

ゲイズハウンド部隊の持つ個々の戦闘能力、連係、そして戦場により培われた血の繋がりよりも強い絆……何人の敵が来ようとも、仲間達とならば乗り切れると確信しているからだ。


「うおおおおおおおっ!」


ロウディカは敵の包囲網に穴を作るべく、敵集団の真正面に踊りかかっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ