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ハジマリノヒ  作者: うぐいす
幻想湖水伝
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幻想湖水伝18

 不実の湖全域に配置したアメジストの人形が全部コントロール不能になる直前、つまり丁度正午頃。

調査も一段落したし時間も丁度良いという事で、オニキスは昼食を食べるに良さそうな場所を探していた。

拠点に戻って食事をするのが一番安全ではあるが距離がある為、戻るのは流石に効率が悪すぎる。

静かな湖の上を飛行しながら手ごろな場所を探して周囲を見回していると、丁度視界の先に良さそうな小島があるのを見つけた。

周囲の安全を確認しつつオニキスはその小島に降り立った。


「よいしょっと」


 慣れた様子でキャスターから荷物一式を取り出すと、レジャーシートを広げてから女子力の高そうなお弁当箱を取り出した。

これはオニキスのものでは無く、今朝ライラが現場組の皆の為に用意してくれたものだ。

お腹の空き具合も合わさって、否応にもお弁当への期待は高まる。


「おぉ……」


 中身はおいしそうなサンドイッチが綺麗に詰められていた。

可愛らしく気が効いている、作ったライラの人柄が透けて見えるような素晴らしい出来栄えだった。

中身もバリエーションに富んでいて、タマゴレタスベーコントマト……時間が経っているはずなのに、どれもまだ瑞々しく美味しそうで、どれから食べようかと思わず迷ってしまう。


(空腹度合いから言って、野菜から食べるのはありえない……しかし味の濃い肉類は中盤にとっておきたい……となれば!!)


 オニキスの目が鋭く光る……最初の獲物は……そう、タマゴサンド……!!!

程よい塩気、ふんわり優しいタマゴの味、そこへ更に深みを加えるバジルの香り……タマゴサンドこそ一番槍に相応しい……!!

そしてもう一方の手でバッグから油断なくいつもの『アレ』を取り出す!

タマゴサンドを一口……二口……そしてそれを一気にコーラ(自前)で喉へ流し込む!


「あぁ~!効きますねぇ!」


 コーラの炭酸が胃から全身に染み渡り、オニキスを支配した……とまあ、こんな塩梅でオニキスがお弁当を食べていると、何やら遠くの湖面に泡が噴出しているのが見えた。


(……大きめの魚でもいるんでしょうか?)


 なんて考えながらオニキスが呑気に泡と眺めていると、泡はどんどん激しくなる。

しかし水の中から何か巨大な生物が姿を現すという訳でもなくて、ただただ泡が激しくなっているだけだった。

激しい泡から蒸気が立ち昇り始めるのを見て、オニキスは身の危険を感じて急いで空へ逃れた。


「な、なんですかこれは!?」


 天気が良く、見通しも良かった湖はあっという間に深い霧に呑まれてしまった。

直後、何かを破壊するような激しい物音がした方に目をやると、アメジストの人形達が同士討ちを始めているのが見えた。

アメジストの人形を暴走させ、ライラを拐そうとした霧に間違いない!


「ついにきましたね……!!」


 現象は確認できたものの、オニキスには原因がわからなかった。

なので急いで仲間に連絡を取る事にした。

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